Romantique No.597『ナイジェリア・ポップスに愛を込めて』 | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

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僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

 

 

                     Adieu Romantique No.597

              『ナイジェリア・ポップスに愛を込めて』

                            
前回のブログではボブ・マーリーの命日に合わせて『One Love~ボブ・マーリーに愛を込めて』という記事を書いた。その流れで今回はボブのAfrican Bloodを引き継ぐように、同じアフリカの国、ナイジェリアの音楽をコンパイルすることに。

 

 今、アフリカの中でも特に新陳代謝が激しく、さまざまな新しい音楽が生まれ続けている、ナイジェリア(他にもコンゴ民主共和国南アフリカとか、アフリカ中で新しい音楽は続々と生まれているけどね)。もともとグローカル・ミュージックと呼ばれた、現在に至る世界の音楽ブームの流れの中でアフリカの音楽全体が注目されるようになり、特にナイジェリアからたくさんの面白い音楽が出てくるようになった。そしてその頃から(2015年頃だろうか)ナイジェリアの音楽は、とてもHipな感じで「ナイジャ・ポップ」【Naija Pop】という言葉で語られるようになり(だけどいつの頃からかそう呼ばれなくなった)、さらに数年前頃から、世界中のさまざまな音楽をミクスチャーした「オルテ」【ALTE】(Alternativeの略)と呼ばれる新しい波が生まれ、数年前からはアフロビーツ(総称としてのアフリカン・ポップスにHip-HopダンスホールのレゲエR&Bを取り入れたデジタル・ダンス・ミュージックを指す)が主流となり、現在ではナイジェリアからの移民が多いイギリスの人たちにも、そういった音楽の勢いが波及している。いゃぁ、ほんと。面白い動きだと思うなうーん

 

ところで。そもそも僕が初めてナイジェリアという国を意識したのは、僕がまだ子供の頃、ビートルズが解散した後にポール・マッカートニーが結成したウィングスの3枚目の『バンド・オン・ザ・ラン』というアルバムがナイジェリアのラゴスで録音されたという情報を知った時だった。「ナイジェリアかぁうーん」。「ラゴスかぁうーん」。「何でポールはわざわざそんな遠いところで?」というのが正直な感想だった(僕は子供の頃から何故だか「世界の地理」に興味津々だったのでナイジェリアが何処に位置するのかはちゃんと知っていた)。このナイジェリアでの録音は、直前にメンバーが脱退したり、スタジオの設備がまったく整っていないためスムーズに進まなかったらしいけれど、結果的にはウィングスを代表するアルバムになったので、それはそれで良かったのかも知れない。だけどアルバムを何度聴いても、わざわざナイジェリア録音をした意味はやっぱりよく分からないままだえーん

 
音譜最初の音楽を。ナイジェリアで生まれ、イギリスに渡ったシャーデー・アデューのユニット、シャーデー【Sade】の1991年のアルバム『ラヴァーズ・ロック』から『By Yous Side』を。

 

 

🎨ナイジェリアのアートなんてあまり語られることはないけど。だけど世界的にも人気が高い、ナイジェリアを代表する女性アーティスト、ジデカ・アクーニーリ・クロスビー【Njideka Akunyili Crossby】(1983~)の、スタイリッシュなアートを。どの作品からも音楽が聴こえてきそうだ。
 
 
 
 
 
📷️ジデカのポートレイト。とてもファッショナブルで美しい女性だ。
 
音譜Liveブッキングでは、アフリカの音楽シーンで最も高額になると言われているWizkidことアヨデジ・イブラヒム・バログンのアルバム『AYO(JOY)』から。ナイジェリア音楽の偉大なる先人フェラ・クティをリスペクトし、フェラの息子フェミ・クティとコラボレーションした曲『Jalye Jalye』を。
 

音譜2020年リリースのアルバム『Reckless』から、ボブ・マーリーとジャマイカのモデル、シンディ・ブレイクスピアの間に生まれたダミアン・マーリーと共演した『Bless』を。

 

音譜H.E.Rとのデュエット曲『SMILE』。Sweet過ぎて、ロマンティーク過ぎて、ため息ぶー💨が出るよな。PVのH.E.Rがとにかくめちゃくちゃ可愛らしいラブ

 

音譜WizkidTEMSによる、とてもオシャレでロマンティークな曲『Essence』。この曲でWizkidとTEMSの魅力に完全にヤラれてしまったのであるにやり

 

音譜ビヨンセドレイクとコラボレートし、オバマ元アメリカ大統領もファンだと公言するテミレイド・オープニイこと、テムズ【TEMS】は今、僕にとってもナイジェリア・ポップスのディーヴァだ。曲は今年リリースされたばかりのアルバムBorn In The Wild』から。
音譜テムズの曲『Me & U』を。

 音譜もう一曲、テムズの曲を。理屈抜きで緩やかに身体が動いてくる『Love Me Je Je』

 📷️テムズのポートレイトを。

 
🎨ナイジェリアのアートを。色彩感覚が素晴らしい Uzo Njoku (1996~)の、アフロビーツ・アートと呼んでもいいかも知れないポップな作品。
 
 
 
 
 
 
 
最近のナイジェリア・ポップスのヒット・チューンをいくつか。
 
音譜ブラッディ・シビリアン【Bloody Civilian】の2023年のアルバム『Anger Management at Least We Tried』からMad Apology』ft.Odumodublvck

音譜今、とても勢いのあるアイラ・スター【Ayra Starr】(2002~)の今年リリースされたアルバム『The Year I Turned 21』から『Bad Vibes』ft.Seyi Vibez

 

 📷️アイラ・スターのポートレイトを。

 
音譜クルーエル・サンティノ【Cruel Santino】の2023年リリースのヒット曲『Holiday Sniping』
音譜ヨルバ(ナイジェリアを代表する民族)の血を引くU.Kジャズ・シンガー、Muva of Earthエリカ・バドゥピンク・シーフの前座を務め、2023年に世界的なカリスマDJジャイルズ・ピーターソンが主宰するレーベル「Brownswood recordings」からリリースされた
アフロ・フューチャーなデビュー・アルバム『Align with Nature's Intelligence』から。先鋭的なメディテーション・ナンバー『Your Intuition Is Your Friend』
 
音譜現在、ナイジェリアで注目の女性ラッパー、アウニー・レイゾー【Auny Rayzor】の2023年のアルバム『Viral Wreckage』からの曲『Doko』ft.slimcase
🎨とても音楽的な絵を描くナイジェリアのアーティスト、Chike Obeagu (1975~)の作品。
 
 
 

少々、時代を遡るね。

 

音譜ナイジェリアが生んだスーパー・スター、フェラ・クティ【Fela Kuti】(1938~1997)。ボブ・マーリーと同じく1960年代の前半から始まった彼の音楽活動もまた、黒人の解放のために権力と闘い続けた歴史であり、その活動はある意味、ボブ・マーリーよりも過激だったのかも(彼も権力側からの暴力に晒され負傷したこともあった)。音楽的にはナイジェリアの伝統音楽ハイライフをベースにしながら徐々にファンク色を強め、1970年には自らのバンド、フェラ・クティ&アフリカ70【Afrika70】を結成。そのリベラルさ、アグレッシヴさを体現したアフロビート」(現在のアフロビーツとは違うよ)という音楽を確立していく。その音楽的成果のひとつ、1976年に制作・リリースされたアルバム『ゾンビ』【ZOMBIE】からタイトル曲を。

 

音譜同じくフェラが1975年にリリースしたアルバム『Expensive Shit』からタイトル曲を。

 

音譜さらに1977年のアルバム『Sorrow ,Tears , And Blood 』からタイトル曲を。

 

 

 音譜ナイジェリアを代表する民族のひとつ「ヨルバ」の伝統音楽「ジュジュ」【Juju】を世界に知らしめたキング・サニー・アデ & ヒズ・アフリカン・ビーツ【King Sunny Ade & His African Beats】。当時、ワールド・ミュージックを積極的にプロデュースしていたマルタン・メソニエから、ちょうどボブ・マーリーに代わる第3世界の新しいスターを探していた「アイランド・レコード」(ボブ・マーリーの数々のアルバムを制作・リリースした)の主宰者クリス・ブラックウェルに紹介され、「アイランド・レコード」との契約を果たし、当時、流行の兆しがあったワールド・ミュージックを牽引した。因みに1984年に来日したサニー・アデのLiveに行って来た友人は、興奮気味に「普通、どんなエネルギッシュなバンドのLIVEでも、オープニングはゆっくりと立ち上がり徐々に100%のパワーを出していくもんだけど、サニー・アデは最初から最後までずっと120%のパワーを全開し放っしだった」と熱っぽく語っていたのが忘れられない。

 

音譜1982年に日本でも話題になったサニー・アデのアルバム『Juju music』から『Ja Funmi』を。
 

 
人に歴史があるように、音楽にも歴史がある。そんなことを何となく想いつつ。僕の中ではナイジェリアの音楽だからって、それだけが特別っていう訳じゃないし、もともと「この音楽しか聴かない」っていうような音楽との接し方はしてこなかった。まぁ音楽は(あくまでも聴く方の立場で言うなら)人種や国境、時代やジャンルも関係なく「売れてる」とか「売れてない」とか、そんなこともまったく関係なく。改めて音楽は自由でいいなぁって(アートも同じだ)、つくづくそう思っている。
 
そう。だから
More Music , More Life !
 

 

それじゃぁ
この辺で。
 
アデュー・ロマンティークニコ