No.598『珈琲 & 音楽 in 喫茶店 ⅩⅡ 』【続・昭和のエロス篇】 | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

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僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

 

                 Adieu Romantique No.598

                  『珈琲 & 音楽 in 喫茶店 ⅩⅡ 

                      【続・昭和のエロス篇】

 

『珈琲 & 音楽 in 喫茶店』シリーズの12回目は、前々回に書いた番外篇の続き「続・昭和のエロス篇」に。

 

昭和の香りが濃厚に沈殿し、まるで時間が止まってしまったような喫茶店(扉には鈴が付いているようなお店。扉を開くとチリンチリンって。それは昭和へと繋がる音なのかもうーん)。今回も少し濃い目の珈琲を飲みながら(さらに今回は窓際よりも奥まった席の方がいいかも)そこで流れていて欲しいと思う、謂わばコーヒー・ミュージックとでも言えそうな音楽(僕にとってそれは昭和の、日本のロックやフォーク、歌謡曲を指している)を聴きながら。昭和のエロスに浸り、妄想に耽けながら過ごす、そんなちょっぴり淫靡背徳的な時間のために。


それぞれのイメージの中に「昭和」のエロス、何ていうものが存在しているかどうかは分からないけどうーん。いずれにしても、そんなエロスの断片から「昭和」という時代が残像のように立ち現れてくれればいいなって思う。

 

🎨昭和という時代に燦然と輝く偉大なる漫画家、手塚治虫が創設した「虫プロ」によって制作された(もっとも手塚は制作に関わっていない)大人のための実験的アニメーション「アニメラマ」3部作、即ち『千夜一夜物語』『クレオパトラ』『哀しみのベラドンナ』。その最終作『哀しみベラドンナ』の美術を担当して注目を浴びたイラストレーター深井国【Kuni Fukai】その作品はスタイリッシュでありながら、蕩けるが如く美しいエロティシズムが濃密に漂っていて、まさに「官能」という言葉がぴったり。現在においてその名前を聞くことはほとんどなくなってしまったけれど。深井国の美しい官能の世界を、これから先も静かに語り継いでいくべきだと思う。
 
🎦ジュール・ミシュレの小説『魔女』を原作にした1972年の作品『哀しみのベラドンナ』【Belladonna】。2015には北米でリバイバル公開、2016年には台湾の「台北映画祭」で1日限定で4Kリマスター版で公開されたという。
 
 
 
 
 
音譜その主題歌を歌ったのは美人歌手、橘まゆみ。まぁ、曲がいいとか悪いとかは脇に置いて。昭和のエロスな雰囲気に浸っておきたい。
🎨「虫プロ」の一世一代の冒険だった「アニメラマ」3部作の第1弾『千夜一夜物語』の美術の責任者に手塚治虫が抜擢したのは、後に「アンパンマン」を生み出すやなせたかし。音楽は手塚治虫の傑作TVアニメ「ジャングル大帝」を担当した富田勲だった。
 
 
🎨「アニメラマ」第2弾の『クレオパトラ』。美術は伊藤主計。音楽は富田勲が担当した。

 

 
🎨もともとイラストレーターとして活躍していた深井国は「ベラドンナ」以外の作品でも、本の表紙や挿絵を中心に実に個性的な作品を数多く残している。
 
これは19世紀末の画家オーブリー・ビアズリーからの影響を感じる作品。
 
 
 
 
 

もっと深井国の作品をUPしたかったけど。例によってアメブロのAI検閲によってハネられまくってしまったぼけー。「これなら大丈夫」と思っていてもダメだったり。その基準がまったく分からないので貼り付けて「いい」のか「悪い」のかの判断ができない。その明確な規準を示してもらいたいもんだ(もっとも。示してもらったところで余計に腹が立つだけだと思うけどねzzz)。

 

🎨気を取り直してリサ・メメット【Risa Mehmet】の、可愛くって少しエロティックな絵を。アートとはかくも自由なんだと思わせてくれる、そのイマージュが素晴らしい。

 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

音譜ある意味、日本の女性シンガーの断層とも言える「玉姫様」こと戸川純が在籍したゲルニカ(メンバーは上野耕路太田螢一)の1982年のファースト・シングル『銀輪は唄う』を(昭和ではなく大正ロマネスク的だけど、独特のエロスが漂っている)。因みにアルバム・タイトルの『改造への躍動』ロシア・アヴァンギャルドもぐもぐ

 

🎨輪郭がなく、ぐにゃぐにゃしていて、水の匂いがするような、不思議なエロティシズムを感じさせてくれる

樫木知子【Tomoko Kashiki】(1982~)の作品。

 
 
 
 
 
 音譜昭和じゃないけど。やくしまるえつこが在籍した相対性理論『元素紀行』。初めて彼らのデビュー・ミニアルバム『シフォン主義』を聴いた時、そのサウンドがシカゴ系のジョン・マッケンタイアが率いたグループ「トータス」みたいだったので思わず興奮した覚えが。

 
🎨 「絵を描くことは夢を見ることと同じ」だというところに立って描かれた、後藤温子【Atsuko Goto】(1982~)の作品。少女たちの表情や視線から柔らかくも怪しいエロティシズムが放たれている。

 
 
 
 
 
 
🎨もしも、こんな微笑みの少女に出逢ったらどうしようかと思うな。

 

 

🎨このアーティストについては僕なんかより女性たちの方がよく知っているはず。ヒグチ ユウコ【Yuko Higuchi】「アリスの世界」「少女のイノセンス」を可愛く描く最高峰。男の僕が「ヒグチユウコの世界が好き」と言うには少々の躊躇いが(そんなこと僕の勝手じゃないかぁーおーっ!とも思いつつ)。そうは言いながらも、彼女の作品からエロティシズムを感じたり。描き手にとってアートが自由なように、受け手にとってもアートは自由だから、としか言いようがない。

 
 
 
 
 
 「不思議の国のアリス」の中で開かれるティーパーティの絵。
 

 

 
 
🎨薔薇の花が咲きほこる小暮千尋【Chihiro Kogure】の絵。ヒグチユウコの作品と同じような感じがするのは、彼女の作品にも「不思議の国のアリス」的世界が描かれているからかな。因みに。彼女は数年ほど前にはアメブロで記事を書き、自らの作品を発表していた。
 
 
 
 
 
 
🎨小川香織【Kaori Ogawa】(1981~)が描く世界もまた「アリス」的世界。但しヒグチユウコ小暮千尋の作品と較べると、エロティシズムがやや濃いめなのかなと思う。
 
 
 
 
 

🎨三谷拓也【Mitani Takuya】(1985~)。少女たちのイノセントを、透明感のあるタッチで描いた作品は実に魅力的。

 
 
 
 
 
 
 
🎨篠原愛【Ai Shinohara】(1984~)の作品。高い技術で描かれた、エロティックで神話的な世界。
 
 
 
 
 
 
🎨堀一浩【Kazuhiro Hori】(1983~)。日本独自の「女子高生」というファクターを通して描かれた異形のファンタジー。
 
 
 
 
 
 
🎨サーカスや遊園地、天使などのイメージで描かれた、松本潮里【Shiori Matsumoto】(1973~)のシュルレアリスム作品。
 
 
 
 
 
 
音譜最後に。よっちゃんこと中納良恵森雅樹によるユニット、エゴ・ラッピン【Ego-Wrappin'】(彼らのLIVEはもう4回行ってる。カッコいいんだな中森明菜もカヴァーした「昭和の香り」が充満する名曲『色彩のブルース』で締め括ることに。
 

 

今回は最初の深井国を除いて「昭和」以降のアートをキュレートしてみた。そして。にも関わらず思うことは、エロスとはそもそも「昭和」、或いは「昭和」以前の価値であり、故に昭和とエロスは妙にシンクロするんじゃないかと思ったりうーん

 
 
今回はこの辺で。
じゃぁ、また。
アデュー・ロマンティークニコ