Romantique No.588『Here Fairy Comes』 | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

 

                  Adieu Romantique No.588

                         『Here Fairy Comes』

 

 

ずっと書いている『珈琲 & 音楽 in 喫茶店』はひと休みすることに。

 

過去、僕のブログでは「妖精」のことをテーマにした記事を何度か書いてきた(また何を言い出すかと思えば)。例えば『妖精のことを考えながら歩くときに聴きたい音楽』とか『Whisper & Fairy Songs』とか。ほんとうは女の子が大切にしてる世界のはず、なのに。男のくせに「妖精」だなんて(それって自分が自分にハラスメントですよぉーおーっ!

 

僕にとって「妖精」とは、例えばある人にとって「UFO」(未確認飛行物体)や、ネッシービッグフットツチノコなどの「UMA」(未確認生物)が限りなく魅惑的でイマジネーションを掻き立てるものであることと同じように。ふとしたことで僕の心の隙間に入り込んできて、とてもファンタジックでロマンティークな存在になったんだ(それがいつ頃なのかは覚えていない)

 

要するに。その人にとって「妖精」が必要なのか、必要ではないのか。必要でない人には妖精は近づいてこないし、僕にとってはそれが「必要」だったということ(それにしても。さっきから僕はいったい何を話しているんだろううーん)

 

まぁ、偉そうに言っても。僕の中では「妖精」【Fairy】「天使」【Angel】がごちゃ混ぜになっているようなところがある。もっと言うならそこに「イノセンス」【Innocence】「童話」【Fairy  Tale】『不思議の国のアリス』の世界も引っ付いている。

 

まぁ、いろんなものがいろんな風に混じり合っていてもいいよね。僕のイマージュに過ぎないし、多分、誰も困らないから。

 

僕の考えでは一応、天使は雲の上に棲み、妖精は深い森に棲んでいる。天使は時折、地上に降りてきて不器用な感じで人に成りすますけど、妖精は森から出てくることはなく草花や動物や鳥たちとずっと暮らしている。どちらも人間のような形をしていて、その大きさはとても小さかったり、人間と同じ大きさだったりさまざま。その背中には共に…。そう、天使には鳥のような羽根があり、妖精には蝶や蜻蛉のような羽根があって、どちらも自由に飛び回ることができる。そしてとても確かなことは「妖精」も「天使」もとても「いたずら」好きというような。

 

そして「妖精」のことを書く時には「妖精の世界のような気がする世界」が含まれていることも付け加えておきたい。

 

音譜まずは音楽を。元ロキシー・ミュージックのトリックスターであり、その頃のファッションから妖精のようにも見えたブライアン・イーノ【Brian Eno】の1977年リリースのアルバム『Before and After Science』から。今回のブログ・タイトルを付けるに当たってインスパイアされた曲『Here He Comes』。僕的には「春っぽさ」からの、「妖精っぽさ」が聴こえてくる。そう。イマージュは自由だ。

 
🎨妖精のイメージ。有名なところではウォルト・ディズニーが創造したキャラクター、ティンカーベルが代表する。
 

🎨日本では。妖精のイメージは宮崎駿『となりのトトロ』が代表する(のかな?)。

 

🎨他にもTVアニメ「コロボックルの冒険」に登場するアイヌの人たちに伝承されてきたコロボックルとか。

 
🎨イメージを拡げるなら。手塚治虫が手掛けたTVアニメ『悟空の大冒険』に登場する「タツコ」も。
 
🎨同じく『ハクション大魔王』に登場する「あくびちゃん」も妖精なのかも知れないし(みんな古いんだよなぁ、もうおーっ!
 
🎨『ルパン三世』に登場する峰不二子はどうだろうか?いや、いや。こんな妖精はいないか。グラマラスでパンチが効き過ぎてる。
 
後は…UMAとして知られているチュパカブラ妖精の亜種なのかも知れないと思ったりうーん
 
そういうことで。「僕の心の隙間に入り込んだ妖精について語るときに僕が語るべきイントロダクション」はこれくらいにして。妖精についてのアートや音楽をあれこれ自由に書き並べていくことに。
 

 

音譜春の光に包まれる森の朝には。ヴァージニア・アストレイ【Virginia Astley】の1981年のアルバム『Promise Nothing』のオープニング曲『We Will Meet Them Again』がとてもよく似合う。

 

 

📷️|୨୧•̤ᴗ•̤ )و゙ ㌧㌧。深い森の中にある扉を叩くと、ファンタジックな世界の幕が開く。ハンナ・マリア【Hanna Mariah】の作品『Little Wooden Fairy Tale Door In a Tree Trunk』
 

「ようこそ、妖精の世界へ」
 
🎨森の奥深くにも光が差し込む。ペトラス・ルコシウス【Petrus Lukosius】の作品を。妖精たちが現れてきそうだよね。
 
 
音譜森の奥から聴こえくるのはジョアンナ・ニューサム【Joanna Newsome】のアルバム『The Milk Eyed Mender』からの曲『Brdges and Balloons
 

 
🎨ラファエル前派耽美主義に影響を受けたイギリスの画家、エドワード・ロバート・ヒューズ【Edward Robert Hughes】(1851~1914)の作品を。

🎨夜には夜の、妖精の世界がある。
 
 
 
🎨ウィリアム・ブレイク【Willam Blake】が1786年に描いた『Fairies』。僕が知る限り最も古い妖精の絵。
 

🎨イマージュは拡がっていく。マーク・ランセロット・サイモンズ【Mark Lancelot Symons】(1887~1935)の素敵な作品『A Fairy Tale』

 🎨妖精が描かれている訳じゃないけど。妖精の世界を感じさせる絵だと思うな。
 
音譜もう一度、ヴァージニア・アストレイの曲を。『Lover's A Lonely Place To Be』

 
📖シュルレアリスムの法王アンドレ・ブルトンと親交があり、日本におけるシュルレアリスムの研究者であり、紹介者でもあり(ハンス・ベルメールの球体関節人形を日本で最初に紹介した)、日本の前衛アーティストたちを(若き日の草間彌生もそうだ)擁護し続け、自身もシュルレアリストであった偉大なる詩人、瀧口修造阿部芳文による詩画集『妖精の距離』(1937)からタイトルになった詩を。
 
 
    『妖精の距離』
 
   うつくしい歯は樹がくれに歌った
  形のいい耳は雲間にあった
  玉虫色の爪は水にまじった
  脱ぎすてた小石
  すべてが足跡のように
  そよ風さえ
  傾いた椅子の中に失われた
  麦畑の中の扉の発狂
  空気のラビリンス
  そこには一枚のカードもない
  そこには一つのコップもない
  慾望の楽器のように
  ひとすじの奇妙な線で貫かれていた
  それは辛うじて小鳥の表情に似ていた
  それは死の浮標のように
  春の風に棲まるだろう
  それは辛うじて小鳥の均衡に似ていた
 
 
🎨 瀧口修造と親交があったジョアンミロJoan Miró(1893~1983)。スペイン・カタロニアの情熱と共に。彼の作品には常に月や星、太陽や妖精のようなものが描かれている。
 
🎨 詩的なイアン・ウォルトン【Ian Walton】の作品を。すべてを受け入れることができるなら、すべてが見えてくる、というようなこと。
 
 
 
🎨絵本作家であり、女性シュルレアリストでもある、アンティエ・グメルス【Antje Gummels 】(1962~)インスタレーション
 
 
📷️妖精のような気がする世界。1981年、フィンランド生まれの女性写真家アンニ・レッパラ【Anni Leppäläが言葉では説明できない「イノセンス」を撮った写真。好きだな、こういうアブストラクトな感受性って。

 
 

 
 

音譜Aspidistrafly2011年のアルバム『A Little Fable』から。タイトル通り、とてもフェアリーな歌『Landscape With a Fairy』を。MVで女の子が着ている真っ白なレースの、ロングのワンピースや花冠はイノセンスを象徴していて、まるで妖精に出会うための正装のよう。妖精の世界が100%完璧に表現されている。

 
🎨メキシコで活動した女性シュルレアリスト、レオノーラ・キャリントン【Leonora Carrington】(1917~2011)も妖精の世界に憑かれていると思うな。
 
🎨同じくメキシコの女性シュルレアリスト、レメディオス・バロ【Remedios Varo】(1908~63)もまた、メキシコという土地から霊感を得たような幻想的な作品を数多く描いている。
 
🎨オーストラリアの挿絵画家アイダ・レントール・アウスウェイト【Ida Rentoul Outhwaite】(1888~1960)が描いた美しくって、可愛らしい妖精の世界。
 
 
 
 
 
 
 
🎨当時から妖精画家と呼ばれていたほどの妖精画家ジョン・アンスター・フィッツジェラルド【John Anster Fitzgerald】(1819~1906)の作品。現世を超えてイマージュに埋没した作品から、彼には薬物使用の疑いがかけられたという。ヒエロニムス・ボスの作風に影響を受けているような気も。
 
 
 
 
🎨デンマークの画家、カイ・ニールセン【Kay Nielsen】(1886~1957)。妖精が描かれてる訳じゃないけど、「妖精の世界のような気がする世界」かな。それにしても。何とまぁ、ロマンティークな世界なのか、と(乙女かっおーっ!)。
 
 
🎨イギリスの女流画家、ジェシー・M・キング【Jessie・ M・ King】(1875~1949)。女性的な柔らかさが魅力的。
 
 
 
音譜ソフィー【Sophie】の曲、Barst』を。このMVもロマンティークに溢れている。

 
🎨マックスフィールド・パリッシュ【Maxfield Parrish】(1870~1966)はアメリカの画家。書籍の表紙や挿絵、ポスターなどの分野で活躍し、パリッシュ・ブルーと呼ばれる、とてもロマンティークな「青」を生み出した。彼が1904年に描いた作品『The Sugar Plum Tree』はイノセンスな不思議な魅力に溢れてる。

 

 
 
🎨アメリカの女流画家、ヴァージニア・フランシス・ステレット【Viriginia Frances Sterrett】(1900~1931)の作品を。
 
 
🎨ピョートル・フロロフ【Piotr Frolov】(1974~)。現在も活躍するロシアの画家。とても装飾的な美しいイラストレーションだと思うので取り上げたみた。
 
 
🎨アメリカの妖精画家、ビル・ベル【Bill Bell】の作品『forest fairies』シリーズ。
 
🎨ヘンリー・タウンレイ・グリーン【Henry Towneley Green】の作品を。

音譜インドネシアの男女ユニット、スターズ&ラビットの2015年にリリースされたアルバム『Constellation』から。歓喜に満ち溢れた曲『Man Upon The Hill』


 

🎨イギリス生まれの若いアーティスト、ベン・ルイス・ジャイルス【Ben Lewis Giles】(1992~)のコラージュ作品を。

 
 
音譜とても可愛い曲Taylor Daukas『Pearl』。ファンタジックでノスタルジックなMVも可愛い。

 

🎨Unknow Drawing。作品のタイトルは『Autumn Ghosts』。フェアリーなイメージを喚起させてくれる不思議な絵だよね。

 
🎨日本におけるフェアリーなもの、「アリス」的なものの代名詞、それをヒグチ ユウコと呼ぶ。
 
 
🎨ポップ・シュルレアリスムからのFairy。ウクライナ出身のアーティスト、Nataly Derevyanko(1976~)の作品。
 
🎨妖精の世界を描いているのか、ただひたすら可愛いだけなのか。だけど何だかキラキラしてるよね。日本の女性アーティスト、下田ひかり【Hikari Shimoda】(1984~)の作品。
 
🎨同じく「KAWAII」世界の極北。長井朋子の作品を。
 
 
🎨ヴァネッサ・ストッカード 【Vanessa Stockard】(1975~)がロココ調で描いたとても不思議な「小さきもの」も妖精のように見えるな。
 
 🎨妖精とは関係ないけど。この絵を見てると、何だかしりあがり寿の漫画『おらあロココだ』を想い出すんだな。

 
🎨じゃぁ、それなら。脱力帝王しりあがり寿が描いた妖精画も。ちまちましたおっさんの妖精でとても賑やかだよね。2021年に開催された『描いたハシから焼かれていく展』から。
 
🎨最後に。まるで「妖精博物館」のような。ステファニー・ルビアノ【Stephanie Rubiano】アッサンブラージュ作品を並べておくね。
 
📷️創作の秘密。大切な世界を壊さないように。細心の注意を払いながら妖精たちを扱っている。

 

 
 
 
 
 
 
 
音譜妖精の世界の物語【Fairy Tale Of Fairy Wonderland】のエンディングに相応しい、Aspidistraflyの曲『Twinkling Fall』でおしまいに。

 
妖精の世界は魅惑的でどこまでもロマンティーク。現実から抜け出して。もう暫くの間、この世界に浸っていたいと思う。

 

それじゃぁ、また。
アデュー・ロマンティークニコ