Adieu Romantique No.576
『アートの現在形~2024年春夏秋冬コレクション②』
僕の好奇心を擽り続けているアートを自由気ままにキュレートしつつ、アートに対する(アーティストに対する)僕なりの想いも適当に混ぜながら綴っていこうと書き始めた『アートの現在形~2024年春夏秋冬コレクション』の、その2回目。
前回の記事の最後に。「今、絵画やアート作品を投資目的じゃなく、個人の、少し贅沢な趣味として比較的安価に購入することが密かなブームになっているらしい」ということを書き、「他人の評価云々ではなく、個人の、自分自身だけの価値観や審美眼でアートを買うこと。それはアートの本質に近づく行為のような気がする」と書いた。
🎦そういった想いを引き継ぐように。まずはそういったことをしみじみと感じさせてくれる1本の映画のことから。もともとNHKの番組を制作していた佐々木芽生【Megumi Sasaki】が寄付を含め独自に資金を集めて制作し、2008年に公開されたドキュメンタリー『ハーブ & ドロシー~アートの森の小さな巨人』【Herb & Dorothy】のこと。
そうして。徐々にふたりはニューヨークのアート界では知らぬ者がいないほどの存在になっていく。それから時は過ぎて。90年代の始め頃には、ふたりの小さなアパートは壁や天井、キッチンやバスルームまでがアート作品で埋め尽くされることになった。その数は実に4700点以上(すべてがオリジナル作品だ!)。ふたりは早くからコンセプチュアル・アートやミニマル・アートの魅力に気付いていたので、コレクションの中にはクリストとジャンヌ=クロード夫妻、テリー・ウィンタース、シンディ・シャーマン、ロニー・ランドフィールド、リチャード・タトルら、現在では巨匠と呼ばれるアーティストたちの作品も数多く含まれていた。
そして何より重要なことは、1992年にふたりはその収集してきたすべての作品をワシントンD.C.ナショナル・ギャラリーとアメリカ全土の50の美術館に50作品ずつを寄贈したことにある(このエピソードはこの映画の続編『ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』【Herb & Dorothy 50×50】で伝えられている)。その行為は長年、公務員として働いて貰った給料で買い集めてきた作品を国が管理する美術館に寄贈するという、ある意味、恩返しであり、それはとても粋なアイデアでもあった。92年当時、既に世界的に有名になったアーティストの作品を適当に売りに出すだけでふたりは億万長者になれたというのに。
とても理想的なアートとの接し方(もちろん。ふたりの、このようなアートとの接し方だけがすべてではないとしても)。誰にでもできることじゃないし、ほんとうに素敵な、まるでお伽噺のような話だと思う。
アートを目の前にして。難しい理屈や他人の批評なんて要らない(参考になったり、後付けでハッとすることはあるにしても)。その作品を観た人が自らの直感と感受性、審美眼だけを信じて。そのアートが「好き」か「嫌い」か。それだけで十分じゃないか。
それじゃぁ、という訳で。前回同様、まずは音楽を🎵僕にとってアートと音楽はどこかで繋がっていると思っているから。
まるで妖精のように歌う、ジョー・マンゴー【Jo Mango】が率いるバンドの美しい曲『The Black Sun』。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240131/07/texascuba69/47/4a/j/o0554055415395706306.jpg?caw=800)
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![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240130/13/texascuba69/0c/80/j/o0554055415395422310.jpg?caw=800)
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240131/08/texascuba69/3d/c2/j/o0556055215395720873.jpg?caw=800)
![音譜](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/038.gif)
![うーん](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/069.png)
🎨アートとデザインの間を自在に往き来するアーティスト、ヨハンナ・グッドマン【Johanna Goodman】。
ファッションに寄っているところが魅力的だし、とにかくイメージが面白過ぎ。因みにこの人の作品は日本のCity Popなバンド、キリンジがアルバム『cherish』のアルバム・カヴァーに使っている。
🎨こちらはヴァージョン違い。
🎨ブラックなユーモアも効いている。
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🎨キリンジと同じく。ヘルシンキ・ラムダ・クラブのアルバム・カヴァーにも彼女の作品が。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240131/13/texascuba69/72/74/j/o0554055415395806299.jpg?caw=800)
今回は、気が付けばボー・バートレットを除いて女性アーティストの作品ばかりになった。僕の中では今、音楽は女性SSWがとても面白いと思っているのと同じように、最近のアートもまた女性たちの方が断然、面白いと思っていて(過去のブログでも女性アーティストたちの特集を何度も書いてきている)。もちろんそれは、あくまでも僕の趣味嗜好や主観に過ぎないし、何ら根拠もないのだけど。まぁ、今の男性アーティストよりも女性アーティストたちの方が自身のイマージュにとても忠実に、自分の世界を柔らかく自由に表現しているような気がするな。
理屈じゃなく。アートは自由で面白い。
「More Art , More Life」
![ニコ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/051.png)