Romantique No.575『アートの現在形~2024年春夏秋冬コレクション①』 | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

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僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

 

                   Adieu Romantique No.575

  『アートの現在形~2024年春夏秋冬コレクション①』

 

              

 前回に書いた『写真の現在形~2024年春夏秋冬コレクション』の、そのアート編。前回では(情報量オーバーを懸念して)僕の大好きな写真家の作品を切り詰めてしまったため、小じんまりまとめてしまった感じが否めなかったえー?


その反省を込めて。今回は春夏秋冬、1年中を通して僕の好奇心を擽ってくれるアーティストと、その魅力的な作品を思い余すことなく、僕自身が納得いくまでたくさんキュレートしていこうと思っている。

 

そう、ある意味。僕の中にいくつかある、アートの引き出しを少し整理してみたくなったということなのかもうーん

 

そのようなことで。逆にブログの記事としてのまとまりはなくなるかも知れないけど、1回のブログの情報量がオーバーになる前のキリのいいところでストップし、その続きをまた改めて断続的に書いていくという方式をとっていくことに『映画と映画音楽を語るときに僕の語ること』のシリーズだってまだ途中なのにさえー?

 

まずは音楽を🎵アートであれ、写真であれ、映画であれ、どんな記事でも音楽が感じられるようなものにしたいという想いから。


音譜The Vernon Spring の、ちょっぴり奇妙だけど、美しいピアノ曲『Mother's Love』


🎨僕の主観に過ぎないけど。もともとロシアという国にはとても魅力的な作品を生み出すアーティストが多いと思っていて(言葉を変えるなら。いろんな意味で「過剰」なアーティストが多いと言えるかも)。発想の出所が分からないような理解不能な魅力とでも言えばいいのかなぁ。そういったアーティストの中でも、現在、ベルリンとテルアビブを往き来しながら活動しているイゴール・スカーレッツキー【Igor Skaletsky】(1978~)は、現時点において世界で最も魅力的な作品を量産しているアーティストなんじゃないかな、と思っている。

 

とにかく、その表現の振り幅の広さ、深さといったら。作品の「意味」とか、スカーレッツキーの制作の「動機」とか、作品によって「何を伝えたいか」とか、そういうことを一切無効にしてしまう圧倒的な作品群。「シュルレアリスム」から「魔術的リアリスム」「ポップアート」などのあらゆる領域を自由に横断し、縦断しながら、「エロティシズム」「ファッション」「孤独」「混沌」「ユーモア」「死」に至るまでのイマージュを卓越した技術で自在に表現する、ある意味、「天才」だと思うな。

 

 

 

 

 

 
 

 

 
 
 
 

 


 

 

🎨初めて観た時、とても興奮した作品。ピノキオと闘っているのはいったい誰?何のために?とにかく凄いイマージュだよね。

 

 

 

🎨この作品って、いったい…。湖畔の白樺の林に立つ女の子(かな?)。そのシチュエーションから被写体の表情、顔色、ファッション、スーパーのレジカゴに至るまで。とにかく理解しようとすること自体がナンセンスなのかと思えてくる。

 

 

 
 
 

 

 

 

📷️イゴール・スカーレッツキーのポートレイトを。まるで時代を超越して顕れたボヘミアンか、60年代末頃のヒッピーたちのコミューンのリーダーのようだし、フリー・フォークのデヴェンドラ・バンハートのような佇まいでもある。
 
音譜それじゃぁ。デヴェンドラ・バンハート【Devendra Banhart】の音楽も。曲は『Baby』


🎨さて、ふたり目は。ラトビア生まれの女性アーティスト、ヤナ・ブリッケ【Jana Brike】(1980~)。さまざまな表現による多彩な作品群はまるでエロティシズムの万華鏡のよう。

 

因みに。彼女の名前ヤナ・ブリッケでGoogle検索すると僕の過去のブログしか出てこない(もちろんJana Brikeなら出てくる)。ヤナ・ブリックなら1件出てくるけど。いずれにしても。こんな才能がほとんど知られていないのかと思うと残念で仕方がない。

 

🎨柔らかな布マスクを思い切り吸い込んだら、卑猥な窪みができてしまったという、恐らくはコロナ禍で制作された作品ならではの、社会性とユーモア、そして挑発を交えたエロティシズム。

 

 

 

 

🎨着想と言うか、このイマージュは圧倒的だと思うな。ほんとPOPでエロティックだ。

 

 

 

 

 🎨彼女が描く少女たちの表情が、肢体が悩ましい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
 📷️美しさと可愛らしさを兼ね備えた、ヤナ・ブリッケのポートレイト。彼女がキャンバスに向かう姿がそもそもエロティック。

 
🎨スペインの画家 ディーノ・ヴァルス【Dino Valls】(1959~)。伝統的なスペイン・リアリズムの技法で描かれた、痛々しく不気味で、不思議なシュルレアリスム絵画の数々。









📷️ディーノ・ヴァルスのポートレイト。

🎨アンドレア・コウチ【Andrea Kowch】(1986~)。アメリカ生まれの女性アーティスト。紛れもなく現代の「魔術的リアリズム」【Magic Realism(1925年にドイツで開かれた「新即物主義展」(=ノイエ・ザッハリヒカイトNeuer Sachlichkeitから波及した芸術表現)の作家だ。とにかく描かれているシーンの意味がまったく分からない。不穏過ぎて不気味過ぎて。だけど。この人の作品の、言い表すことができない「何か」に強烈に引き込まれていく。

 


 



 


 

 

 

 
 

 

 
 

 📷️作品のモデルになっている女性たち。ハッキリ言って、近寄り難い…。

 📷️アンドレア・コウチのポートレイト。何だか説明できないような迫力を感じるよね。

 

音譜ビッグ・シーフ【Big Thief】のリード・ボーカリストであり、ギタリストでもあるエイドリアン・レンカー【Adrianne Lenker】の、妖精のような歌『Anything』


🎨アメリカの女性アーティスト、ロリ・フィールド【Lori Field】(1955~)の作品は、柔らかな色彩と独特の浮遊感が魅力。ちょっぴりStrangeだけど、可愛さが溢れているところがいいな。いつの頃からは分からないけど。最近のアートは、女性たちの作品の方がイマージュの拡がりがあって面白い。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 📷️ロリ・フィールドのポートレイト。
 
音譜Benny Singsのセンシティヴなポップ・ナンバー『Passionfruit』


🎨アメリカの女性アーティスト、ローラ・ギル【Lola Gil】(1975~)。ジャンルとすればポップ・シュルレアリスムに括られるのかな、とは思うけど。彼女が描くイマージュは窮屈なジャンル分けなどを遥かに飛び超えて「アートにはあらゆる規制がなく、真に自由なものである」ことをPOPに教えてくれる。

 

 

 🎨彼女にとって耳や眼は彼女の内面と外界とを繋げる装置なのだな。

 

 

 

 


🎨筆を逆さまにして彼女が描いたものは何?



 

 

 

 

 

 

 📷️ローラ・ギルのポートレイト。


今、絵画やアート作品を投資目的じゃなく、個人の、少し贅沢な趣味として比較的安価に購入することが密かなブームになっているらしい。昔と違って今は「サザビーズ」【Sotheby's】「クリスティーズ」【Christie's】など、高額な値段につり上がるようなオークションじゃなく、アーティスト個人がネット販売したり、ギャラリーが無名のアーティストの作品をネットで販売している。アートの敷居が低くなっていることも含めて。他人の評価云々ではなく、個人の、自分自身だけの価値観や審美眼でアートを買うこと。それはアートの本質に近づく行為のような気がする。


今回のタイトルはアートの現在形~2024年春夏秋冬コレクション。少々、チャラチャラしてるなと思いつつ。既に名の知れた巨匠や圧倒的な評価を得てるアーティストではなく。僕の好奇心を擽って止まない、比較的新しいアーティスト(知名度がない人も多い)の作品を通して少しでもアートに興味を持ってもらえればと、そんな風なことを思っている。


理屈じゃなく。アートは自由で面白い。

「More Art , More Life」


それじゃぁ、また。
アデュー・ロマンティークニコ