Adieu Romantique No.574
『写真の現在形~2024年春夏秋冬コレクション』
僕の主観に過ぎないけど。写真は被写体が人であれ、動物であれ、風景であれ、何であれ、その一瞬を(もう二度とやって来ることのない永遠の一瞬を)カメラという装置を使って写し撮ることがすべてであると思っている(現像の仕方や、ペインティングなどの技法を加えたりすることでその表現を変えることはできたとしても)。
だけどそうは言いながら。現代ではプロもアマチュアも関係なくデジタルで撮った写真をデジタル加工することは当たり前になっているけれど(それが悪いことだとはまったく思わないし)、それじゃぁ生成AIはどうなんだろうかと。もはやカメラを使わなくても作業者(敢えてそう呼んでおこう)のイメージを超えた写真を制作することが可能になっている。シャッターを押さない写真。永遠の一瞬を写し撮らない写真。それがどの程度のクオリティがあり、そこから写真としてのオリジナリティを生み出せるのか。そしてさらにそこにどんな意味があるのかとか。まぁ、今現在、僕はそこに興味はないし、僕はそのことについてほぼ何も知らないし(時代遅れでも何でも構わない)。もしかすると生成AIで制作された写真が実際に生成AIで制作された写真なのかどうかさえ僕には判別がつかないのかも知れない。
僕が興味を持っている写真とは(それが単なる想い入れに過ぎないとしても)、少なくとも(それがデジタルであってもアナログであっても)、写真家自身の内部から溢れ出るイマージュを、写真家自身がシャッターを押すことでその一瞬を切り取ったもののことであり、さらに言えば、被写体との間にある距離感(或いは関係性)を写真家が独自の視線と視点で捉え、その一瞬を写し撮ったものであることは間違いない。
今回のタイトルは『写真の現在形~2024年春夏秋冬コレクション』。僕自身は写真の勉強をしてきた訳でも何でもないので、そこに写真の潮流のようなものがあるのかどうかは分からないけど。自分の感覚だけを頼りに。春夏秋冬、1年を通して僕の好奇心を擽ってくれる写真家(一応タイトル通り、現在形の写真家に絞って)と、その作品をランダムにキュレーションしてみた。
まずは今回のテーマに相応しいと思う音楽を。韓国のSSW、パク・ヘジン【Park Hye Jin】の、ビジュアル的な曲『I Need You』。
リアルな顔写真を大きく引き伸ばした作品で有名なドイツの巨匠トーマス・ルフ【Thomas Ruff】の、エロティシズムをテーマに撮った作品を。
ヴィヴィアン・サッセン【Vivian Sassen】の作品は相変わらず鮮やかで美しく、躍動感があってとても刺激的。
何を撮ってもオリジナリティが溢れ出るジェイミー・ホークスワース【Jamie Hawkesworth】の作品を。