ロマンティークNo.0380 架空美術展『女性たちの感受性が撮った写真のIMA-Ⅱ』開催 | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

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僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

こんにちは。僕のブログ【アデュー・ロマンティーク】へ、ようこそ。

 

『女性の感受性が撮った写真のIMA』。前回の続きを。80年代から撮り始めて90年代に活躍した女性写真家の、今も新鮮な輝きに満ちている作品を含め、今、僕が面白いと思っている現在の女性写真家のIMAを織り混ぜて紹介しようと思う。

 

音譜BGMは最小限に。最初はAnvilのSEXYな曲『Carajas』から。とにかくドラムンベースがカッコいい。

 

ラウラ・マガブレスク【Laura Makabresk】

1987年、ポーランド生まれの写真家。女性の後ろ姿の魅力。背中に張り付く濡れた髪。とてもCoolでエロティックだと思う。

 
 
 
 
 
 
 
📷不穏の象徴とされることが多いカラスを使った、思わず、目を瞑りたくなるような作品。あまり関係ないけど。カルロス・サウラが75年に撮った、奇跡の女優アナ・トレント主演のスペイン映画『カラスの飼育』が想い浮ぶ。
 

 ペトラ・コリンズ【Petra Collins】

世界的に人気が高い写真家。数多いセルフ・ポートレイトを含めた彼女の独特な世界は、リアリティがありながらストーリー性を感じるし、逆に言えば作り物っぽさを感じさせながら、確かなリアリティを持っている。

 
 
 
 
 
📷モデルもこなすデジタル加工されたセルフ・ポートレイト作品。自分自身との独特な距離感が面白い。
📷女性のヌードとオモチャの飛行機、そして青空と芝生。もとネタは1枚のレコードのアルバム・カヴァーに。
ラブラブエリック・クラプトンとスティーヴ・ウィンウッド、ジンジャー・ベイカーらによるスーパー・グループ、ブラインド・フェイスのアルバム『スーパー・ジャイアンツ』(1969)のカヴァー写真。ほんとカッコいい。
音譜BGMはアルマンド・トロヴァヨーリのスコア、イタリアン・シネマのテーマ曲『セッソ・マット』【Sesso Matto】。エロティックでグルーヴィーな名曲。

 
ベッティナ・ランス【Bettina Rheims】
1952年、パリ生まれ。女性らしい視点でファッショナブルでPOPに。大胆にして繊細に。時に生々しく猥雑に、女性のエロティシズムを撮った写真はとても魅力的。写真はスーパーモデルのシビル・バックを撮ったシリーズ。
 
📷モデルのソフィアを撮った、ランスの代表作。
📷ホテルの一室で、一人の女性を撮るシリーズ。

📷マドンナを撮ったシリーズ。ベッティナ・ランスらしい作品であり、マドンナらしい作品でもある。

📷モニカ・ベルッチのポートレイト。なんだか肉感的でエロいねラブ

📷ベッティナ・ランスが撮るとリヴ・タイラーも、アンジェリーナ・ジョリーも「やさぐれ」てしまうのであった。



📷️フランスの女優エマニュエル・ベアールをモデルにした作品には背徳的な雰囲気が。

📷フランス文学界の巨匠、マルグリット・デュラス女史のポートレイトを。
 

 
 
コリーヌ・デイ【Corinne Day】
イギリス生まれの女性写真家。1989年に雑誌『THE FACE』の表紙に、当時まだ無名だった15歳のケイト・モスを登場させ、そこからケイト・モスを大ブレイクさせた。その後も数々のファッション写真やポートレイトを撮影。2010年に45歳という若さで、急逝してしまったけれど、その一貫してナチュラルで、生活の一コマを切り取ったような透明かつ聡明な作品群は、彼女以後の写真家たちに、今もなお静かな、だけど、とても大きな影響を与え続けている(あのライアン・マッギンレーでさえ彼女の影響を受けてるんじゃないかと思う)。因みに彼女はもともとロック少女で、特に60年代のアメリカのサイケデリック・ガレージバンド『THE 13th Floor Elevators』が好きだったらしい。
音譜それじゃぁ、ガレージでサイケデリックな『THE 13th Floor Elevator』の曲『You’re Gonna Miss Me』を。

📷オノ・ヨーコの巨大なポートレイトの前に立つ、長い髪の少女。僕的には。コリーヌ・デイの作品の中のフェイヴァリット。シンプル過ぎるほどシンプルなのに、とても多くのことを語っている。好きだなぁ。
📷輝かしきキャリアの1ページ。ケイト・モスとのフォト・セッションのシリーズ。あのケイトが、とても純真な感じで可愛らしくって(失礼!)。ほんと初々しいほっこり
 
📷雑誌『GRAY』のためのケイト・モスのシューティング。
 
📷ロック好きな彼女らしい作品。
📷ゼロ年代中頃に、すごく人気があったモデル、ジェマ・ワードとのフォト・セッション。サーファーのコミューンで撮ったような親近感が魅力的。
 
📷どのような被写体を撮っても、コリーヌ・デイの作品は、柔らかく、ナチュラルで、とても優しいのに、何故かしら大きな存在感を感じるんだな。
 
 
 
 
エレン・フォン・アンワース
【Ellen Von Unwerth】
ドイツ生まれのファッション写真家。もともとはモデルとして活躍し、84年頃から写真を撮り始める。映画のワンシーンのような写真からスタイリッシュな作品まで。女性らしい柔らかな感受性に溢れている。

📷️殺風景な空間を背景にして、ちょとした日常を写しとった、とてもスタイリッシュで可愛らしい作品。
📷️とてもワイルドなシューティングは90年代を代表するスーパーモデル、クリスティ・ターリントンの、別次元の美しさを引き出した。

 

 

 
音譜Club JazzなUna Mas Trioの『Clear As Water』。

 

ヴィヴィアン・サッセンVivian Sassenne】

72年生まれのオランダ出身の写真家。現在、最高峰の女性写真家だと思う。光と影の使い方やヴィヴィッドなカラーリング、構図など、すべてが斬新。

 
📷️ヴィヴィアンは光と影の魔術師でもある。
 
 
📷️ジャン=リュック・ゴダールの傑作『気狂いピエロ』のラストシーンが浮かぶ。「見えた」。「何が?」。「永遠が」
 
 
 
 
音譜細野晴臣のソロ・アルバム『フィルハーモニー』から『hotaru』。

 

マーリア・シュヴァルボヴァー

【Maria Svarbova】

スロバキア共和国の女性写真家。最高にCoolだけど、ユーモアも感じるしストイックさも感じるし。彼女の中の統一された世界が(空気感まで含めて!)、グラフィック的に処理され、独特な美しさで表現されている。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

📷️彼女自身もCoolな感じで魅力的。
 
アマンダ・チャーチアン
【Amanda Charchian】
アメリカの写真家。オリジナリティ溢れる、豊かなイメージが魅力。
 
 

 
 


 
ヴァレリー・フィリップス【Valerie Phillips】
ニューヨーク生まれ。ゼロ年代以降のガーリーフォトを代表する。彼女もロック好きで、数々の女性シンガーを被写体にして撮っている。

音譜ヴァレリー・フィリップスの写真によく似合う、リバティーンズ【Libertines】の『Lost Post On The Bugle』。

 
 
 
 
 
 
 
📷ジェンダーレスなサラ・カミングスをシューティングしたシリーズ。
📷エイミー・ワインハウスのポートレイト。
 
アン・ジュン【Ahn Jun】
韓国・ソウルを拠点にしている女性写真家。彼女の作品はおっそろしく高い場所で、彼女自身を撮影したセルフ・ポートレイトである。高所恐怖症の人には、耐えられない作品かも。

 
 
 
 

 

ルオ・ヤン【Luo Yang:罗洋】

上海を拠点に活動する中国の若き女性写真家。女性の視点で中国のリアルを、中国の若者のリアルを撮り続けている。

 
 
 
 
 
 
 
 

メリッサ・シュリーク【Melissa Schriek】

92年生まれの、オランダの若き女性写真家。静止しているのに、動的な感じがするコンテンポラリー・ダンスのような写真。モデルたちのユニークなポージングと構図が魅力的。

 
 
 
 
 
 
 
📷️最後に。日本の女性写真家を。『TOKYO STYLE』や『珍日本紀行』といった名著を出してきた都築響一の影響下にあると思える世界。川本史織が撮った『堕落部屋』、『女子部屋』シリーズから。彼女の、写真家としての位置づけはよく分からないけれど、彼女が撮った女の子たちの数々の部屋は、あるがままのリアルでありながら、さまざまなものが映り込んだ、混沌とした宇宙であり、どこか空虚でありながら濃密な空気が流れていて、とても面白い。
 
音譜曲もいい感じにハマる(と思う)、日本ロック界の異端、マジカル・パワー・マコの『Look Up The Sky』feat.灰野敬二で終わろう。

 
 
 
 
 
 
 
 因みに。僕がまだ若い頃。何度か遊びに行ったことがある、一人暮らしの女の子のワンルームの部屋は、阪神タイガースのグッズで埋め尽くされていた。ブラック&イエローな世界。いいとか悪いとかではないけど。その女の子の見た感じや、それまでの会話からはまったく想像できない部屋だったので正直、びっくりしたという話。
 
【架空美術展の終わりに】
 
今回も女性アートの時と同じように。10人×2と言いながら、今回も12人+Oneになってしまった。でも、まぁ、いいよね。そこはイヒ。たくさんの女性写真家のIMAを伝えることができたのだから。今回の架空美術展では、最後に紹介した川本史織を除いて、日本の女性写真家に触れていない。日本にも魅力的な女性写真家がたくさんいるので、機会があればまた、僕の架空美術展で紹介したいと思っている。
 
それでは。アデュー・ロマンティークニコ