ロマンティークNo.0112 サイケでポップアートな『田名網敬一の曼荼羅』。 | 『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

『アデュー・ロマンティーク』~恋とか、音楽とか、映画とか、アートとか、LIFEとか~

僕が過去と現在、ロマンティークと感じた(これから感じることも)恋や音楽、映画、アートのいろいろなことを書いていきます。

こんにちは。僕のブログ【アデュー・ロマンティーク】へようこそ。

 

今回のテーマは、前回の宇野亜喜良の流れを受けて、同じく1960年代の後半から現在まで活躍し、数多くの個性的なイラストやデザインを制作してきた田名網敬一と、その作品のこと。

 

1960年代中期以降は、寺山修司が主宰した「天井桟敷」や唐十郎の「状況劇場」などの演劇や舞踏のアンダーグラウンド・カルチャーが花開き、雑誌や広告表現にしても次々と新しいものが誕生していた時代でもあった。舞台美術、演劇や舞踏のポスター、雑誌の表紙や本の装丁、挿絵、広告のヴィジュアル。そういった新しい表現の場は先鋭的なデザイナーやイラストレーターたちのクリエイティヴを爆発させるための場として最良の媒体だったのだと思う。田名網敬一にしても然り。もともと優れたイラストレーターであり、デザイナーとして華々しい活動していた中で、オリジナルの表現を生み出し、デザインやイラストとアートとの垣根を超えた、その表現はとても面白く、実にエネルギッシュ。前回記事の宇野亜喜良の作品は、少女たちの世界を描いたものだったけれど、今回はサイケでポップアートな世界という、とてもエネルギーが強い世界なので(ちょっとエグい表現があったりもするので)、どちらかというと男の子向けアートなのかな、と思う(アートに「女の子向け」とか「男の子向け」とか、そんなものあるのか?)。ちょっと強引だぞぶー

 

それにしても。サイケな魅力って何だろうか、と考えてみると。サイケとはもともとはアメリカのドラッグ文化から生まれたサイケデリックのことで、海外ではサイケとは言わないと思うし、多分、日本だけの略称じゃないかと思う。ハーバード大学の学者であったティモシー・リアリーや、作家のケン・キージー(ミロシュ・フォアマンがジャック・ニコルソンを主演にして撮った映画『カッコーの巣の上で』の原作者)らが精神の解放と共にドラッグの効用を説き、60年代の中頃からアメリカのサンフランシスコを拠点に拡がったもの。特にロックやアートはドラッグの影響を強く受けることになり、数々のサイケデリックな作品が生まれた。音楽なら例えば、ビートルズの『SGTペパーズ~』や『マジカル・ミステリー・ツアー』。グレイトフル・デッドやクィックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィスのアルバム。ジミ・ヘンドリックスもそうだろう。アートなら、やはりビートルズのアニメーション映画『イエロー・サブマリン』(作画はハインツ・エーデルマン)とか、当時のロックのLIVEフェスの広告ポスターなどのイラストやデザインだろうか。

 

けれども。ここ日本ではドラッグは昔から現在に至るまで(そして、これからもそうだろう)、法律で厳しく禁止されているため、ドラッグ文化なんてものが生まれる土壌がなかった。ゆえにサイケデリックではなく、サイケという言葉に置き換えられたのだと思う。つまりは。極論だが、日本におけるサイケとは、サイケデリックのビジュアルや音楽様式の、おいしいところだけを取り入れた文化であり、例えば音楽ならGS<グループサウンズ>や、中村晃子や黛じゅんなどのビート歌謡の雰囲気、そういった音楽がメインに使われた映画などが、サイケのイメージになるのかな、と思っている。

 

さて、田名網敬一のこと。1936年、東京生まれ。1945年、9歳の時に東京大空襲を経験したことが、田名網敬一の作品に大きな影響を与えることになる。幼少の頃より、より絵を描くことが好きだったこともあり、プロのアーティストになるべく武蔵野美術大学へ進学。その才能は学生時代より広く知られ、在学2年生の時にはイラストレーション、デザインの展覧会「日宣美」で賞を受ける。卒業後、広告代理店に就職するも1年足らずで退社。その後は、篠原有司男や赤瀬川源平、荒川修作らが立ち上げた、日本の前衛芸術集団ネオダダイズム・オルガナイザースと行動を共にした時期も含め、現在に至るまでイラストレーター、グラフィックデザイナー、そしてアーティストとして長く活動を続けている。また、1999年に開催された回顧展では、若く才能溢れるアーティストである、ヤマタカEYE(ボアダムス)や宇川直宏といった人たちからリスペクトを受け、いろいろな意味でのコラボレーションも行っている。

 

■まさにサイケ&ポップなデザインの神髄。カッコいいよね。

 ■60年代にしか生まれなかった、独特のデザイン、そしてイラストレーション。この感じはアメリカの有名なデザインスタジオである「プッシュピン・スタジオ」の影響を強く受けているのだ。

■「AVANT-GARDE」誌主催の「反戦ポスターコンテスト」 で入賞した作品「NO MORE WAR」。
■ここから。「田名網曼荼羅」とでも呼べそうな、サイケでポップアートな世界が続く。

 
 

 
■この作品なんて、伊藤若冲的な要素も取り込んでいるなかな、と思う(ほんとかなうーん)。

■これなんて、デミアン・ハーストの作品をイメージさせる、な。

■さらに。田名網曼荼羅は続く。

■ガロ系マンガmeetsロイ・リキテンシュタイン。
■ヒロ・ヤマガタmeets(アウトサイダー・アートの元祖)アドルフ・ヴェルフリの世界か。

■ボアダムスなど、先鋭的なロックのアルバムカヴァーとして考えると、すごく相性がいいと思う。

 
■この辺りの作品は結局、村上隆の(特に最近の)作品にも、影響を与えているような気がするな。
 
 
今回は田名網敬一がテーマだったが、前回の宇野亜喜良も含めて、60年代に活躍したイラストレーターやデザイナーには他にもまだまだ魅力ある作品を生み出してきた人たちが数多く存在する。そしてさらに世界に目を向けると。知的好奇心、視覚的好奇心をくすぐる、限りなくおもしろいものが存在している。
そういったものの中から、僕が(勝手に)キュレーションしたアーティストや、その作品を少しずつでも、僕のブログで紹介していきたいと思っている。

 

それでは、また。アデュー・ロマンティークニコ

 

 

                 ※※※※※※※※※

 


オリジナルt-shirtの制作と販売をする
【ラヴ&ピース・t-shirtプロジェクト】始めました。
■代表アイテムはこれ。

■t-shirt販売のサイト上のショップロゴ

■オリジナル・デザインt-shirtsのラインナップはこちらへ。
      ↓↓↓↓↓
オリジナルt-shirt love&peace graphic

■ご購入の流れはこちらへ。
             ↓↓↓↓↓
オリジナルt-shirt ご購入の流れ

興味がある方は一度、アクセスしてみてください。
よろしくお願いしまぁーすニコ