黒田長政と、不仲となった後藤又兵衛の話は有名だけど・・・。
執拗な奉公構で追いやられた京都にて。
粘着な黒田長政、何とか又兵衛をぶっ殺したいと、
又兵衛には面の割れてない2人の剣客を雇い入れ、
福岡から京都へと向かわせた。
又兵衛の深夜帰宅途中を狙うも、なかなか隙を見つけることができず、
刺客はなかなか襲いかかれない。
やがて無人の小道に差し掛かった。
急に又兵衛が振り向き、彼のほうから笑顔で声をかけた。
「あんたら、見かけない顔だがおそらく刺客であろうな。
無理だ、無理だよ。
遠路はるばる来たのに相手もせずに無駄足になってしまうが、
こんな乞食浪人相手に死ぬことは、もっと無駄だろう。
やめとけ、やめとけ。」
手練の刺客らは呆気にとられるも又兵衛の迫力に押され、
すごすごと福岡まで逃げ帰ってきた。
切腹覚悟でおそるおそる主人の長政に事の次第を報告した。
脇息にもたれ事の始終を聞いた長政は、暗い表情で答えた。
「又兵衛であったならばそうであろうな。
つい腹が立っての短慮であったが、お前たちにはそもそも無理というもの。
遠路はるばるの仕事、大義、ご苦労さん。
早く帰って休め。」
とねぎらいの言葉をかけたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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