石田治部少輔(三成)、小西摂津守(行長)、安国寺(恵瓊)、
この3人は、今度の大乱(関ヶ原の戦い)を起こした張本人であるが、
戦場にても死なず、猶も命を免れんと、ここかしこに隠れ居たのを、
皆搦め捕られ、先に大阪に遣わされ晒された。
この時、治部少輔が搦め捕られている所を、諸大名は何の会釈もなく通り過ぎた。
だが、黒田長政ただ一人、治部少輔の側に来て、
「今度の不慮の儀が出来、貴殿の成り行き斯くの如くにて、
無念千万な事でしょう。
ですが武士は古よりかかる例も多くあります。
これが恥辱であるとは全く思いません。」
この言葉に、さすがの治部少輔も、その情けに感じ入り、
「このように成り果ててしまっては、
哀れだと言ってくれる人すらいないというのに、
真に情け深く感じています。」
そう言って涙を落とした。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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