合渡川の戦いの時、黒田長政の家中・神谷小介は先駆けして、
川を渡り、待ち受けている敵の中へ、叫び声を上げて攻め入った。
そのために小介は槍玉に挙げられ、まさに危ういという時、
長政の軍兵が進んで攻め寄せ、敵を追い立てた。
小介は流れる血のために朱色に染まっているので、
戸板に乗せられて長政の前にやって来た。
この時に、小介は、
「今日、自分と先を争うような者は、長政以外ありえない。」
と思ったので、長政をきっと見て、
「小介より先立って槍を合わせた者は一人もいません!」
と言った。
これに長政は、
「お前でなければ誰が先駆けをすることだろうか。
手負い致した者が、気を張って物を言うのは、
(体に障るから)よくない。」
と言った。
後に小介は有馬の温泉に浴し、傷は癒えた。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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