ある時、黒田如水の中間のうちに、窃盗をしたものが出た。
物頭は如水に報告し、
「そ奴はこれこれの盗みを致しましたので、現在拘束しております。
ご成敗なされて然るべきと考えます。」
と申し上げた。如水これを聞いて、
「首を斬るなど必要のないことだ。早々に我が領地から追放せよ。」
しかし物頭この如水の言葉に、
「いえいえ、あやつの窃盗は度々のことなのです。
なので今回はぜひとも、頚を刎ねられるべきです!」
あくまで斬首の許可を求めた。
如水、これに、
「それこそ好都合!度々盗みをするのなら、
よくよく盗人に生まれついた者なのだろう。
急いで追放せよ。追放先でもきっと盗みをするだろう。
その時、追放先でそいつが仕えた主人に、
頚を斬らせればよいではないか。
だいたいこうなったのはお前の責任でもあるぞ?
度々盗みをすると言うことを知っていたのなら、
どうして今まで放置していた?
一度だけでも処分の判断があってしかるねきだ。」
と、したたかに叱りつけたという。
そんな、黒田如水さん窃盗犯の斬首を嫌う、というおはなし。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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