黒田如水が、ある時、こんな事を語った。
「誰とは言わないよ?
だけど今の世の若い大名なんてのはさ、心を許して用心をしないのは、
腰や肩を揉ませて調子のいいことを言う小姓が一人二人あるくらいで、
その他は児小姓から家老に到るまで、
常に傍によればそれに警戒の目をつけまわし、脇差の柄に手をかけんばかりで、
相手が何かしてきても自分がぬかることはないぞ、
と言いかねぬ風情なんだよ。
どうして召し使っている者たちを、
そんな恨みでもあるかのように接するのかねえ?
大名としては下々末々の者、百姓以下まで、
長久あれかしと願うように接したいものだよ。
今の世の若い連中の立ち振る舞いを見るとまるで、
兵法修行して世を渡っている連中と見間違えそうだ。
俺はそういうのを見るたびに可笑しくって、
馬鹿な事やっているなあと思うわけさ。」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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