ある時、黒田如水(官兵衛)は、息子の長政に言った。
「お前は夏に火鉢を出したり、日照りの時に雨傘を差すのか?」
突然、謎掛けのような事を言われ当惑する長政。
如水は続けた。
「物には使い道と言うものがある。火鉢や雨傘も、
使い道を間違えばまったく役に立たないが、
冬の火鉢、雨の日に雨傘は無くてはならぬものだ。」
長政は答えた。
「もちろん心得ております。ですが私はそのような物の使い道は、
してはおらぬつもりです。」
如水は諭すように言った。
「いや、おまえは家臣を夏の火鉢、日照りの雨傘にしてはおらんか?
人も使い道をあやまれば、無能にも有能にもなる。
家臣は本当にお前に使われて満足しておるのか?
その辺に気をつけよ。」
以後、長政は家臣達の事に気を配り、
広く意見を聞くように心掛けるようになった。
如水は『家中間善悪の帳』と言う手帳を作り、
家臣間の友好関係を調べ家臣同士の相性を見て役目に配置していた。
「相性の悪い者同士が同じ役目に就いても、良い事は無い。
人は気持ち良く働いてこそ、役目を果たせると言うものだ。」
それが如水の、人使いの極意であった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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