黒田如水が死ぬ1カ月前の頃、
病床にあった如水は連日家臣を呼び出しては彼らに罵倒を浴びせ続けた。
いわれなき罵倒を受けた家臣たちは、
「如水様は病気が重くご乱心あそばされたのであろう。」
と如水の罵倒に耐える毎日で暗澹たる気持ちになり、
如水乱心の噂は息子の長政の耳にも入った。
このままでは家臣の統制がつかなくなると心配した長政は、
見舞を兼ねて、父をいさめに行った。
「父上、病気が重いのは分かりますが、
乱心となれば家臣が動揺するので、
どうか心を広くお持ちください。」
と長政がいさめると、
「そなたはワシが本当に乱心していると思ったのか。
父のワシが乱心すれば家臣は息子のそなたを頼りにするから、
後日ワシが死んでも主君交代がスムーズになるだろう。
ワシが乱心したふりをしたのは、そなたのための親心だとまだ気づかぬか。」
と、病床の如水は、逆に長政をいさめたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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