出陣の日を、悪日と言われ☆ | げむおた街道をゆく

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関ヶ原の時のこと。

豊前中津の黒田如水が、金銀を撒いて兵を集めた事、

有名であるが、これが八月上旬になって漸く3千5,6百に及んだ。

 

これに如水、

「来月9日に出馬し、近隣の敵を攻め討つ!」

と宣言する。
が、黒田家の重臣達は慎重であった。

「せめて、内府公が上方に到着されたと言う情報を得てから、
われらも出陣すべきではないでしょうか?」

「何を言っている?内府の出馬を待てば、我らの戦略は手遅れになる。
のみならず、周囲から日和見をしているように見られては適わん。
良いからわしの了見に任せるのだ。」

それでも重臣の者達、なんとか如水に考え直してもらいたい。

「しかし、月の九日は悪日と申します。

これは変えたほうが良いのではないでしょうか?」

如水、思わず噴出した。
「ああ、月の九日が悪日である、などと言う俗説に迷わされて、

そのような事を言うのか?
おぬし達は忘れたか?我らは月の九日に出陣して、

合戦に勝った事などいくらでもあるではないか?
これを悪日などと言う道理は無いだろ?

それでもまだ、悪日だから恐ろしいと言うのなら、
お前達は吉日を選んで、わしより後に出陣すると良い。」

これを聞いて母里太兵衛、目を怒らして怒鳴った。
「なんと口惜しき事を言われますか!?

皆、あなたを大切に思っているからこそ、
こんな事を言っていると言う事、解っているはずです!
一体この中の誰が、自分の吉凶を気にして、

主君より後に出陣いたすでしょうか!?
なんとも、情けない仰せでござる!」

これに如水、何も答えず、

ただ「盃をもってこい」と言い、一座の者に盃を回し、
酒を飲ませた。

 

その上で、
「太兵衛はいま一つ呑め。」

と、声をかけた。

これは如水から、

母里太兵衛に『これで仲直りをしてくれ。』という印だったそうだ。

如水流、黒田家臣団の御し方のお話。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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