朝鮮役のころ。
日野備中守が、朝鮮に使いとして行く時、黒田如水に銀百枚を借りた。
さて、日野が使いの役目を果たし帰国した後、如水の元を尋ねると、
如水は近習の者に、
「まえに人からもらった鯛があっただろ?
それを三枚に捌いて、その骨を煮てもてなすのだ。」
と言った。
日野はこれを聞き、
「なんという甚だしい吝嗇だ。」
と、半ばあきれ、酒宴の後、
「お借りしたもの、この通りお返しします。」
と、銀百枚を出した。
ところが如水、
「この銀、最初から返してもらおうと思っておりませんでした。
異国に渡られるという事で頼まれたから、あなたに送ったのですよ。」
と、決して受け取ろうとはしなかったとのことである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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