中間六郎左衛門の臣従☆ | げむおた街道をゆく

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中間六郎左衛門統種は豊前国下毛郡山国を領し、中間の郷一戸の領主であった。
黒田官兵衛の豊前入国の時、山田大膳、城井中務と共に、

三人はその居所が山中で嶮岨の地であることを頼って官兵衛に従わなかった。

しかし中間六郎左衛門には官兵衛より内意があって、早くに降参した。

中間が官兵衛に降参しようとした時考えたのは、

黒田官兵衛に降参ずれば、本領を失うだけでなく、
自身の身も失うのではないかという懸念であった。
 

しかし黒田官兵衛は聞こえた武将であるので、降参しなければ滅亡すること必定である。
如何すべきかと思案し、一つ思いつき、中間家に仕える者達を一人も残らず呼び出して、
このように言った。

「黒田官兵衛に降参すべきが、そうしないべきか、

各々の心中の所存を書き付け入れ札すべし!」

家中の者達の意見を知りたいということである。
家臣たちはその下知に従い、それぞれが思う所を書き付け、入札をした。
 

乱世の時節であったので、文字の書けない武士もまた多かったが、文字の書けない者は
文字の書ける者に頼んでその意趣を書いてもらった。

皆書き終わり入り札が終わると、中間六郎左衛門はそれを取り出してこれを見てみると、
多く家人がいる中、一人も「黒田官兵衛に降参するのはよくない。」

と書いた者は居なかった。
皆、黒田に属するべきだと書いていたのである。

中間六郎左衛門は、
「では、家人残らず同心の上は、衆議に従うのが宜しかるべきである。」
と、官兵衛への臣従を決めた。

その後、城井中務が中間の元に使いを送り、

黒田に背き自分たちに味方するように進めてきたが、
中間は同心せず、

「一度黒田殿に従った以上は、重ねて心変わりはしないものだ。」

と返書を送った。
この返書を持たせた使いを、黒田家の家臣が道にて捕らえて官兵衛のもとに連行したが、
官兵衛はその返書を見て、中間六郎左衛門の忠義に感じ入ったという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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