官兵衛は、覚悟を決めた☆ | げむおた街道をゆく

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天正11年(1583)4月、賤ヶ岳の戦いの緒戦で中川清秀を倒した柴田軍は、

余勢を駆って秀吉軍の出城に襲いかかった。

 

最前線の砦を任されていた黒田官兵衛は、覚悟を決めた。
「どうやらオレも、ここまでか。」
官兵衛は重臣の栗山利安を呼び、15歳の自分の長男・長政を連れて逃げるよう命じた。

「お言葉ですが、私も殿と共に討ち死にしとうございます!」
利安は官兵衛の命を聞こうとしなかったが、
「今、長政を連れて逃げるのは、ここで死ぬより百倍も忠節になるのだ。

頼む、逃げて黒田の家名を保ってくれ!

こうしている間にも時が過ぎる、早く!!」
やむを得ず官兵衛の願いに応じ、泣く泣く砦を脱出した。

抱えられるように連れ出された長政は、砦から一里ばかり離れたところで、

必死の形相の利安に聞いた。

「なあ、わしらはこんなに急いでどこに向かうのだ?」
「・・・じ・・・実は・・・・・・。」

「こうしてはおれん、砦に戻るぞ!」
「な、なりません!若殿が逃げ延び、

黒田の家を残す事こそ、官兵衛様の願いですぞ!」
しかし、長政は言い返した。
「バカを言うな!子が父を見捨てて逃げ、どの面下げて生き延びるのだ?
それに、『武士は「逃げる」という事はない』と、

教えてくれたのは父上だ!それっ!!」
長政は乗馬を蹴立てて向きを変え、砦に駆け戻った。

「あぁ、あの方こそ間違いなく官兵衛様のご子息である。」
利安らは、感涙にむせびながら後に続いた。

黒田父子は秀吉の大返しまで必死に砦を守り抜き、

大大名としての礎を築くことになる。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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