天正元年、信長は将軍義昭を追放、更に義昭に味方した三好家を滅ぼし、
多くの捕虜を捕らえた。
その中に坪内某という料理人もいた。
坪内は鶴、鯛の料理の名人で、饗膳の儀式の達人といわれる人物。
家臣がこの料理人を召抱えてみてはどうかと信長に進言した。
信長「よし、では、お主の料理の腕前みせてみろ。」
坪内「ははーっ、では翌朝に素晴らしき料理をご用意致します。」
坪内は腕によりをかけ、会心の料理をつくり信長に差し出した。
坪内「この鶴は摂津の淀川で取れたものを一晩寝かせて……。」
信長「能書きは良い、食えば分かる。どれ…頂くか。」
信長「こ、これは……。」
信長「まずーい!!! なんだ、この水ぽい吸い物は!!!」
坪内「え、ええー!!」
信長「こんな不味い料理を食わせおって!! 即その者の首をはねよ!!」
坪内「ちょ、ちっょと待って、もう一度、機会を……。」
坪内は、信長に土下座をし、再度、料理をつくらせて欲しいと願い、
それでも口に合わなければ切腹すると誓った。
翌日、出された料理に満足そうに舌鼓を打つ信長の姿があった。
信長「うむ、この食感、この味、これは正に美味いぞ。」
さて、坪内は料理に、どの様な味付けをしたのだろうか?
坪内「簡単なことよ。昨日だした料理は公方家だされる一級料理だったが、
信長公は口に合わなかった。そこで三級料理の味付けの料理を出したら、
大変満足したって事よ。」
つまり、所詮、信長は田舎大名という、かっこ悪い話。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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