ある日、突然十人余りの武士が、
狩野元信を訪ねて、元信が描いているところを見て、
妄りにこれを評してした。
その中には織田信長もいた。
彼は元信の画を見るために、密かに衆人と共にやって来たのである。
元信はこれに気付いていたが、
黙して顧みず脚を机の間に出して画を作り続けた。
客が帰って後、隣人が来て、
「太守が来たというのに、どうして何の礼も無いのだ。」
と尋ねると、
元信は、
「彼は潜んでやって来たから、私は敬わなかった。
それに私は彼に何かを求めているわけではない。
そういうことだよ。」
と答えた。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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