上杉謙信の出兵に合わせて、信長に謀反を起こした松永久秀であったが、
うまくいかずに、居城である信貴城を包囲されてしまった。
激しい攻防戦の末、城方は本丸だけをかろうじて残す有様となった。
ここにいたって覚悟を決めた久秀は、
共に籠城していた息子の久通に城を脱出して、
織田信長を倒す工夫をせよと命じた。
久通は、父と共に戦って死ぬことを望んで脱出を拒否したが、
久秀は叱り付けて強引に脱出させた。
しかし、久通は途中で織田軍の兵に見つかって討ち取られてしまった。
世間の人々は久通のことを、
「父親を見捨てて逃げ出した臆病者。」
と散々に、けなしたが、信長だけは、
「これは弾正がそうさせたので、所存あってのことだろう。」
と言って弁護した。
無念の最期をとげた松永久通であったが、
仇敵である信長のおかげで名誉だけは守られたのだ。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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