弓の名手☆ | げむおた街道をゆく

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信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

織田の家臣に弓の名手某がいた。

織田信長はその話を聞いて腕前を試したいと思い、
演射場を設け日を選んで赴き、これを見物した。

ところが他の侍たちは皆多くが矢を当てたが、

終日射ったのに某は一矢も当てることができなかったので、

信長を満足させられなかった。

 

信長は帰ると、

「見るのと聞くのでは違うな。人の言葉など当てにならないものだ。」

と述懐した。

その後、一揆が蜂起しその勢いはすこぶる激しく、

信長は自ら将としてこれを討った。
 

この時、大勢の者たちがしりごみして進まないなか、

某は信長の馬前に立ち弓をいっぱいに引き絞って、縦横に放射した。

その矢はおおむね外すことなく、賊徒はこのために退却した。

これを見て信長は、

「なんと深き技よ。

あの時、矢が当らなかったのは当てることができなかったのではない。

余力を養って他日に功を立てようと望んだのだ。
諺に能ある鷹は爪を隠すというが、確かにその通りだ。」

と感嘆し、厚く褒美を与えて、某を賞したという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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→ 第六天魔王・織田信長、目次

 

 

 

 

 

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