織田信長が、浅井長政と木造にて対陣していたときの事。
長政の陣、俄かに慌しく、信長は物見に猪子兵助を、
その後さらに金松弥五左衛門を送り出した。
間もなく猪子が、馬に泡を吐かせて大慌てで帰ってきた。
「敵は撤退しております!」
間髪を入れず金松も帰って来た。
「敵、わが軍に押し寄せてまいりますぞ!」
そう言い捨て槍をあわせるため先陣に走っていった。
信長「どっちだよ!?」
結局、浅井は押し寄せたが、本格的な戦闘にはならずに浅井はすぐに引き上げた。
この後、信長は猪子、金松の二人を呼び、
「お前達はそれぞれ何を見てきたのだ?」
と聞いた。
猪子は、
「敵は、荷をつけた馬を遠くへと引きのけておりましたので、
これは撤退であると見て取りました。」
この判断には信長も納得。
しかし金松は、
「私が見たのも猪子殿と全く一緒です。
さりながら、われらと決戦をしたがっている浅井長政が、
何もせず空しく引き上げるようなことをするでしょうか?
あれは押し寄せて戦うための準備だと推察いたしました。」
信長、これを大いに褒めたそうである。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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