織田信長は合戦に出かける度に、
一足の足半草履を太刀の帯取りに結び付けていた。
その訳は誰も知らなかった。
天正元年八月、信長は越前に攻め入り、朝倉軍と開戦した。
このとき兼松又四郎正吉は諸兵に先んじて進み、
一番首の功名を上げた。
首実検の折、信長が一番首を褒めていると、
正吉が裸足であることに気がついた。
信長は腰から草履を外し、
「わしは多年、この草履を腰につけ、
そなたのような勇者の現れるのを待っていた。
ようやく今日、この草履の主を見つけることが出来た。」
そういって与えた。
この粗末な草履は、「天下一の草履」と、皆の羨望の的となった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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