信長が、伊勢へ侵攻を始めたころ、
紀伊の鉄砲集団・根来衆が彼に興味を持った。
「信長とかいうヤツ、美濃も手に入れたっていうじゃねーか。
どれほどの男か実際に見てやろうぜ!」
さっそく根来寺の僧が伊勢の末寺に派遣され、
僧は折り詰めにご馳走をギッシリ詰めて、
信長を待ちうけ、数々の折り詰めを差し上げた。
「で、あるか。」
馬上からこれを見た信長、折り詰めから餅を、
二つ三つ笄(こうがい)で刺し貫くと一気に口に入れ、
「あとはお前ら、食え。」
と折り詰めを宙にブン投げた。
軍団の移動中とて転がっていた馬フンの上に、折り詰めは落ちた。
近習の侍たちは、フツーに馬フンの上で折り詰めを開け、
信長の指図通り頂戴した。
「命令に逆らうより、馬糞メシのがマシってどんだけ恐い大将なんだ。」
根来へ帰った僧が伝えた話は、すぐに広まり根来へ正式に信長の使者が来た時、
根来衆は恐れおののいて早々に従い、
以後、信長の天下布武を大いに助けたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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