織田信長公は、時々京に団子を求められた。
よく参りに来るというので京童どもは上様団子と申し合っていた。
ある時、一段と粗忽な御小姓が御前近くの所で、
うっかり雑談の中で申してしまったのを、
信長公は聞かれ御立腹なされた。
御勘気を蒙られるすんでのところで(曲直瀬)一渓道三が御登城されて、
「ごもっとものことではありますが、
世上にそのように申す事はかえって御誉れでございます。
昔天子様がちまきを御覧になられ、
一段面白いものとの勅定を出されたことがありました。
それから京童どもは内裏粽と今でも申し慣わしております。」
と申し上げました。
この言葉で信長公はご機嫌が治りその御小姓も御赦免なされた。
総じて上の御側にある人は、万事に気遣いを致す事じゃ。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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