天文二十二年、19歳の織田信長は、
尾張赤塚にて、山口九郎二郎との合戦に及んだ。
最初は遠距離からの矢合わせ。
お互い矢を射掛けながらじりじりと近づくと、
信長方の侍・荒川与十郎が、山口方の矢を額に受けてしまい落馬した。
それを見た山口方の足軽たち、
「捕虜にすべし。」
と駆け寄り、与十郎の足を引っ張って連れて行こうとした!
すると織田方の足軽もそうはさせじと、こっちは頭と胴体を持って引っ張った!
与十郎の体をかけて、織田と山口の、人間綱引きが始まったのである。
山口九郎二郎は織田に負けるなと、配下を次々と加勢させる。
信長も世十郎を渡してなるかと、手の者をせきたてる。
そして与十郎は、双方の真ん中で引っ張られている。
もはや戦は、与十郎の体を取ったほうが勝つ、
と言わんばかりの状況であった。
一進一退を繰り広げる人間綱引き。
しかし、時間と共に、徐々に信長方のほうが優勢になる。
此方のほうが、人数が多かったのだ。
「今じゃ!ひっこぬけ!」
信長の掛け声と共に与五郎の体は織田方に!
信長はこの人間綱引きを制したのだ!
その余勢をかって攻め立て、この戦にも勝利したとか。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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