太閤殿下の優しさ☆ | げむおた街道をゆく

げむおた街道をゆく

信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

師走のある日、

秀吉は新年を迎える為に庭の松の木を切っている、

幼い顔立ちの庭師を見ていた。
 

少しして、若い庭師の手が不自然に震えている事に気付く。
震えがあまりに続くので気になったのか、秀吉は庭師に近付いて行く。

その為か庭師は、手に持っていたハサミを落としてしまう。

それを見た秀吉は、

「急に仕事中の所に、近付いて申し訳無い。さあ、お仕事を続けなされ。」

と地面に落ちたハサミを拾って庭師に手渡した。

その瞬間、庭師は「父の敵!」と叫んでハサミの刃を、
秀吉に向けて刺そうとした。
 

が、秀吉は素早い身のこなしで刃を避け、

手刀でハサミを落とし、警護の侍に庭師の身柄を確保させた。

捕縛された庭師は涙を流しつつも、
「秀吉公の庭の手入れをする職人として従ったのも、

かつて戦で自分の父を殺した秀吉公へ、
仇討ちするつもりだったのに…。」
と、秀吉の命を狙った理由をひとしきり話した後、

大いに泣いたという。

それを聞いた秀吉は、

「そなたは親思いじゃのう…。」

と一言漏らし、庭師を放免した。
 

また、翌年も同じ庭師が植え込みの中に隠れているのが発見されたが、
秀吉は、

「そなたに斬られてやりたいが、そうもいかぬでな。」

と言い、その男に酒と金を与え、
「父を思うその気持ちは、一生持ち続けてくれ。」

と再び放免した。
 

やがて庭師は修験を重ね、豊臣家の安泰を願う一人となったという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

こちらもよろしく

→ 太閤記・異聞、目次

 

 

 

 

 

ごきげんよう!