蒲生氏郷を、会津に派遣するときの事だ。
秀吉は突然、自分の袴を脱ぎだした。
「とうとうボケたか!」と、氏郷が思ったかどうか。
秀吉はそれを、
「会津出発の餞である。」
と、氏郷に与え、その場で穿かせた。
自分は、氏郷が脱いだ袴を取って穿いた。
そうして、さあさあと会津に向かわせた。
さて、秀吉は、氏郷が出立すると、それを見送った近習のものたちに、
「氏郷はどんな様子であったか?」
と聞いた。
彼らは「事の外、迷惑な様子でした。」
と言うと、秀吉、
「いかにもそうであろうよ。こっちに置いていては、恐ろしい奴だからな。
それゆえに、奥州に遣わしたのだ。」
と、笑いながら言った。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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