家康が、二条に居る頃、落書きをする者が多かった。
所司代・板倉勝重が、書いた者を捜索しましょう、と言ったが、
家康は、
「そのまま捨て置くべし。
そもそもどう言ったことが書いてあるのだ。見せてみなさい。」
と言うので、
御所柿の枝に短冊状のものがついたものを持ってくると、
それにはこう書かれていた。
御所柿は ひとり熟して落ちにけり 木の下に居て拾ふ秀頼
これを見た家康は、
「それでも落書きを禁止するべきではない。
ひどいことながら、心得になることもある。
そのままにせよ。」
と何度もご覧になって言った。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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