厩を修理させる☆ | げむおた街道をゆく

げむおた街道をゆく

信長の野望、司馬遼太郎、大河ドラマが大好きです。なんちゃってガンダムヲタでもあります。どうぞよろしく。

 

ある時、徳川家康の厩が、破損した。

家康は、加賀爪忠澄に、その修繕を命じた。

家康の修繕に関する注文は、

家康らしいとしか表現しようのないものであった。

 

曰く。
「雨漏りがしていれば、そこだけ葺き替えよ。

壁が崩れているなら、そこだけ土をつけよ。
その他は何もしなくて良い。」

そんな家康の素っ気ない要求に、

それでは自分の技術が見せられないとでも思ったのだろうか、
加賀爪は、つい異見をしてしまった。

「殿! 今上方の諸大名は自分の厩には、夏は蚊帳を吊り、冬は馬に布団を着せて、

馬を愛されること一廉ならぬものがあります。

ところが殿の御厩はどうでしょうか?

戸口には藁むしろを掛け、

馬の餌は常に粗食を与えて飼っておられます。

これは殿ほどの方がなされるには、

あまりに粗相というものではないでしょうか?」

それに、家康は、猛然と反論。

「加賀爪よ!

武士が馬を養う目的は、その用に立たせるためだけであって、

外見を飾るためではないぞ!
 

わしが藁むしろを掛け粗食を与えている馬と、

他家の蚊帳を吊り布団を着せている馬と、

いざ合戦という時、
どちらがよく険しい山を登り激流を渡り、極寒酷暑を耐えると思うか!

よいか、お前は厩を作り馬を養うのに、決して上方風を学んではならぬぞ!」

と、固く命じたという。

そんな、ある種の様式美の完成すら感じさせる、徳川家康、加賀爪忠澄を叱る。と言うお話。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

こちらもよろしく

→ どうする家康・異聞、目次

 

 

 

 

 

ごきげんよう!