ある日、徳川家康が、細川忠興を訪ねた。
二人は、何気ない話をしていた。
家康、
「私は、もっと長生きがしたい。 笑いますか?」
忠興、
「まさか! ぜひ長生きしていただきたい。」
家康、
「そうですか。
実は、私は鷹狩と鉄砲だけが、楽しみでしてなぁ。
これらをやってると寿命が延びる気がするんです。」
忠興、
「はあ。」
家康、
「そこでご相談したいのですがね。稲富伊賀守のことなのですが…。」
忠興、
(……しまった。)
忠興は、家康にうまく乗せられたことに気がついた。
稲富祐直は忠興の家臣で鉄砲の名手だったが、
忠興の怒りを買って殺されそうになり、
松平忠吉のもとに逃れていた。
家康、
「伊賀守から鉄砲の話をきいて、日ごろの疲れを除きたいと思うのですよ。
いや、忠興殿のお怒りはごもっともですが、
あれほどの男を殺すのは惜しいではありませんか。
出家させて命だけでも助けてやってはいかがでしょう?」
忠興としては稲富を許すつもりなどないのだが、
話の流れから駄目とは言えず、
ついに稲富を許した。
その後、稲富は、徳川家を大いに助けたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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