母娘二代に命を助けられる☆ | げむおた街道をゆく

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天正十年、本能寺の変の報せを聞いた徳川家康は、
わずかな供回りとともに岡崎へ向かった。
後の世に言う神君伊賀越えである。
 

その折、河内の農家で休憩した。

家には、女房と赤子がいた。
 

雲林院の城につなぎをつけるべく、服部半蔵が供を離れた。
家で家康を休ませ、女房が庭に出た時に、

野伏せりの一行がやって来た。
女房は己の着物を脱ぎ捨て家康に被せて匿い、
自分は赤子に乳をやる体を見せた。
 

野伏せりどもはまんまと騙され、家康は危うく難を逃れた。

時は流れて慶長二年。

美しい娘に成長した赤子は、
縁あって二条城に仕えていた。
 

ある時、娘が家康の風呂の世話をしている時に、刺客に襲われた。
娘はとっさに自分の着物を脱いで家康に被せ、

隣の部屋に隠した。
 

そして自分は湯船に飛び込み、家康の声音を真似て叫び刺客を呼び寄せた。
家康を襲いに来た刺客は、裸の少女を見て絶句。
瞬く間に駆けつけた本多正信の率いる一隊に切り伏せられた。

その夜、家康が改めて娘に礼を言うと、娘は自分の母の事を語った。
母娘二代との奇縁に、家康は、たいそう驚き、娘を自分の側室にした。
後の清雲院於奈津である。
 

家康五十六歳、於奈津十七歳の頃のお話。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ どうする家康・異聞、目次

 

 

 

 

 

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