徳川家康の陪臣が、
とある戦いで名の知られた者を討ち取って、
首を持ってきた。
「すごい奴の首じゃないか!」
と皆が、陪臣を誉めそやした。
このことを聞いた家康は、陪臣にこう言った。
「貴様の主人は、年若いわけだが、貴様がそいつと戦っていた時、
主人は何をしていた。」
「そ、それは・・・、どこにいらっしゃったか、存じませんでした。」
この男、若い主人のことを忘れて、敵と戦う事に夢中だったのである。
「己の手柄の前に、若い主人のことを考え、
主人に敵と手合わせさせて、
傍でそれを助けるのが貴様の役目だろう!
戦場で主人を棄て、
独断行動で首をとっておいて、なにが功名か!」
怒った家康は、主人を呼び出し、その陪臣を追放させたのだった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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