家康がある時、家臣の高木清秀を使番とし、
筧正重を旗奉行に任命しようとした。
この人事案に本多正信は、
「高木は高禄の士なので、こちらを旗奉行とし、
筧は小禄ですからこちらを使番とすべきでしょう。」
と、意見をした。
これは役職としては、旗奉行のほうが格が上であったためである。
ところが家康、
「禄が多い者を旗奉行にし、禄の少ない者を使番とする、と言うのは、
知行の多寡で人を用いると言う事だ。
これは人材登用の目的にかなうものではない。
わしが見るに、筧には旗奉行の能力がある。
そして高木は使番が相当であろう。
そう判断したため、
それぞれをその役職に就けようとしたのだ。
もし筧が小禄で、この役にそぐわないと言うのなら、
相応に禄を増やしてやればよい。
能力の有無を考えず、知行の多少だけで人の軽重を判断するのは、
人を使う道では無いぞ。」
そのように言われたそうだ。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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