本多正信の一族に、本多加信という人が居た。
彼の物語に、ある時、権現様(徳川家康)の御前に、
あん信という唐人が招かれ、家康はこの唐人に、
唐船の事を詳しく尋ねた。
そしてその後、このように言われた。
「日本船が、唐船と戦うときは、
鷹に鶴を取らせる心が無ければ勝利することは出来ない。
例えば、千町の田地に鶴が多く有る時、
これを取るために逸物の鷹を千羽求めても、
鷹師が下手なら鶴を取ることなど出来ない。
鷹師が上手ならば、予めそのための訓練を行い、
また当日の天気と風と距離を考え、
息を合わせ調子を合する時は、
たとえ一羽であっても鶴を取ること疑いない。
進物の鷹が、どれほど心剛だとしても、
その鷹の資質だけでは鶴を取ることは出来ないのだ。
唐船と日本船は、この鶴と鷹のようなものだ。
日本船がどれだけ心剛だとしても、
それだけでは彼に勝つことは難しい。
将が、予め、その戦いを想定していることが、必要なのだ。」
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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