井伊直政の傷☆ | げむおた街道をゆく

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家康が、関東に入った頃。

徳川家において最大の領地を貰ったのは井伊直政。
だが、彼は元からの譜代ではないため、家中の嫉妬を買っていた。

それを知った家康は、家中の者が皆、大広間に集まった折、直政を側に呼んで、

「上着を脱いでくれ。」
と言った。

有名な話だが、井伊直政の体は戦場で受けた傷だらけである。

徳川家の者達も、改めて、その隙間も無いほどに傷ついた上半身に感嘆した。

家康は、その傷のうち一つを指差し言った、

「これは、○○の合戦で受けたものであったな。」
「はい。」

さらに声を重ねた、

「こちらの傷は○○での戦、こっちは○○の合戦の折の物…。」
なんと家康は、直政の傷一つ一つについて説明を始めたのだ。

殿は、こんな事まで覚えておいでになるのか。
 

直政は最初、これにあっけにとられ、

そして、家中の者達の前にもかかわらず、泣いた。
 

徳川家中の者達も、家康の説明する戦の記憶とともに、又、泣いた。
家康の説明もいつしか、涙声になっていた。
それは徳川家の戦いの歴史、そのものであったのだ。

全ての傷を説明し終わると、家康は皆に向かって言った。
「わしの知る限り我が家中に、これだけの数の戦で体を傷つけるほど働き、

又、手柄を立てた者は直政の他おらぬ。

よって、わしは直政に、最も大きい封土を任せた。

それを、理解して欲しい。」

これ以降、井伊直政を妬む声は家中より無くなったと言う。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。 

 

 

 

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→ どうする家康・異聞、目次

 

 

 

 

 

ごきげんよう!