家康のお伽衆で、
「たんはん」
と呼ばれる男がいた。
この人が、家康が戯れに投げた黄金を、巧みに受け取るので、
家康が面白くなって、手元にある黄金袋から、次々に投げてみると、
たんはん、それらを全て、すばらしい身動きで受け取った。
家康が、
「もう良い、ここまで。」
と言って奥に下がると、
側にいた本多正信が、
「黄金袋の中にまだ黄金が残っているぞ! たんはん、上様を追いかけるのだ!」
「承知!」
と、たんはん、家康を追跡!
それに気がついた家康、
「捕まってなるか!」
と逃げ出す。
城の中で、家康と、たんはんの追いかけっこが始まる。
「上様は、敵に後ろを見せられるか!」
との、たんはんの挑発にも、一気の逃げ切りを図る家康だったが、
ついに行き止まりに追い詰められ、
「年寄に、あまり無理をさせるな。」
と、黄金袋を、たんはんの前に放り投げ、
「全て、お前のものだ。」
と、負けを認めたという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
こちらもよろしく

ごきげんよう!