どこの地のことか、ほど遠き所に徳川家康が鷹狩りをした時、
折りしも雪が降り出して、御供の輩は濡れてびしょびしょになった。
家康は、その様子を見て御輿の戸を開け、
「とても趣深い景色だな。」
と言って、自らも濡れ添って、仮の住宅に到着した。
けれども、家康は自身にかかった雪を払おうともせずに、
「急いで粥を煮よ。」
と言って、粥を煮始め、少し粥を食べると、
残りはすべて御供の者に与えて、
「これを食べて温まれ。」
と、言った。
そのため、いずれの者も家康の親愛の情のもったいなさに恩情を感じて、
寒さを忘れる思いであったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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