お供の衆との旅程も時間が経つと、
家康は扇拍子で小歌を唄い、酒があれば取り出して盃は用いず、
馬の柄杓で飲むか、小竹筒の口からそのまま飲んだ。
そのうち一人で飲むのが寂しくなるのか、上戸を探すのだが、
自分のいる位置の先か後ろか、どちらにいるか分からないので、
片手綱で早駆し、もう片手には小竹筒を持って先に行けば見当たらず、
後ろかと思って列の半分ほどまで走ると、
「馬上酒を飲ませてやるぞ。」
と尋ね回った。
成瀬正成は上戸だったので、度々だったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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