ある時、徳川家康は阿倍川の水を、駿府城の泉水に引くことにした。
奉行が測量した結果は、寺の敷地を通すというものだった。
すると家康は、
「寺を潰してまでやらなくてもよい。」
と言いだした。
奉行は、
「しかし、ここはよい水路に入っているのです。
寺は適当な場所に移動させればよろしいのでは。」
と言ったのだが、
家康は、
「そういうことは場合によるのだ。泉水に水を引くのは、
わしの慰みにすぎない。
いわば私事である。
わし一人の楽しみで古来よりあった寺を動かしていいものか。
敷地を通さなければ文句はない。
それが無理なら泉水はなくてもよい。」
と言ったという。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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