伏見城にて。
いつものように秀吉が、諸大名を集め、自慢話していたときのこと。
秀吉、
「わしは、いままで、戦で不覚を取ったこと、一度も無かった。」
と発言。
諸大名が、
「そのとおり、さすがは殿下。」
と誉めそやした。
ところが、
その場にいた家康、一人血相を変え立ち上がり、
「他のことならともかく、戦のことで俺を前にして何てことを言うんだ。
小牧の戦いのこと忘れたのか。」
と発言。
諸大名が、手に汗を握り、嵐の予感に恐れおののく中、秀吉は無言で退席。
周りの人が家康に、
「あんなの座興なんだから、相槌うっときゃいいじゃないですか。」
といったところ、家康は、
「戦の話だから、捨て置けないんだ。このことで殿下の不興を買っても本望だ。」
と突っぱねる。
さすがは三河武士の親玉、めんどくさい。
しばらくして帰ってきた秀吉は、さっきのことがなかったかのように振舞ったので、
諸大名はやっと安心したのであった。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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