謙信の許に峯澤某とう士がいたが、罪を犯して、越中の椎名に奉公した。
謙信が越中へ戦に出られたとき、彼は草むらに隠れて、鉄砲を持って窺っていたが、
突然鉄砲を側に投げ捨てて泣きだした。
謙信は彼を見つけて、
「どうした、峯澤とは珍しい。」
と言われたら、
峯澤は、
「これほどの仁君知将を討とうした事が、悔しくりました。
今遥かに見て、先に屋形の心に背いて、
またこのような計画を企んだことはこの上もない大罪です。
早々に首を刎ねてください。」
と言って平伏すれば、
謙信は笑って、
「吾に智仁とはふさわしくない虚名である。早く帰って椎名によく仕えよ。」
と言われたが、峯澤は越後に帰って、農夫となって一生を終わったとか。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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