上杉輝虎(謙信)が、武蔵国忍で対陣していた時の事。
このとき輝虎の元に、太田三楽が密かに北條と好を通じている、と言う情報が入ってきた。
輝虎、これを聞くや否や、馬添えの者すら連れず、ただ一騎で駆け出し、
三楽の陣に駆け入った。
突然の総大将の乱入に驚く太田の士卒たちを尻目に輝虎、三楽の三男安房守、
当時12歳を発見、たちまちひっ捕まえた!
「いつの間にかこんなに成長したか。よし、我が家の子としよう。」
こう言ってそのまま連れて帰ってしまった。
人質である。
この時三楽の兵達、輝虎のあまりの猛威に恐れ、身動きすら出来なかったそうだ。
そしてこの後、三楽も輝虎に心服するようになったそうである。
しかし戦国の世とはいえ、大将自らが拉致誘拐と言うべきことを、
しかも白昼堂々一人でやったのは輝虎位の物であろう。
煮ても焼いても食えない太田三楽であるが、輝虎には流石にかなわなかった、
と言うお話。
『戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。
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