不思議な弾丸☆ | げむおた街道をゆく

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謙信が、武州忍城攻めをしたときのこと。
 

篭城の構えを取る忍城を、謙信は自ら見て回った。

狭間口まで来たとき、やぐらの上から成田の兵たちが10人ばかり、
鉄砲で彼に銃弾を浴びせた。

 

しかし、弾はあたらない。
 

謙信は、これをものともせずに忍城を見ている。
兵たちは自分達が相対している武者が敵の大将だとは知らなかったが、
ともかく再び銃撃した。

 

しかし、やっぱりあたらない。

とある兵が、
「ああいう勇猛な武将には弾丸は当たらないって聞く。

城内に金で出来た弾丸があるから、それを使ってみよう。」
と言い出して、3発も撃った。

しかし、3発ともことごとく謙信から外れた。

兵たちはついに鉄砲を投げ出し、
「このような名将を我ら如き雑兵で殺してしまってはもったいない!

どうぞお帰りあれ!」
これを聞いた謙信は、悠々と馬首をめぐらせて陣に戻った。
 

上杉の家臣も関東の諸将も、この不思議な光景を固唾を呑んで見守っていた。

その夜、家臣の宇佐美定満が謙信に意見した。
「かの源義経も、弓矢の的になった際に家臣に諌められております。

今日の殿も同じ。敵の弾に当たって死ぬなど犬死にござる。

以後、お気をつけられよ。」

謙信は、
「確かにお前の言うことはもっともだ。
が、人間は死のうと思えは生き、生きようと思えば死ぬものだ。
心を集中して動じていなければ、火に入っても焼けないし、
水に入ってもおぼれぬ、とある人に言われたのだよ。」
そう言って笑った。


これには宇佐美も、何も言えなかったという。

 

 

 

戦国ちょっといい話・悪い話まとめ』 より。

 

 

 

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ごきげんよう!