2020年6月3日(水)
大阪難波駅から近鉄奈良線の急行に乗車して大和西大寺に向かいました。
大和西大寺駅から橿原線に乗り換えて西ノ京駅へ。
2020年6月1日から部分公開が再開されている薬師寺です。
2019年3月に展示された東塔の新しい水煙(手前)と、修理されながらも1300年前から東塔の上にあった元の水煙(奥側)です。
東塔のための新しい水煙の飛天です。(2019年3月)
2019年3月の晴天の日に撮影した西塔(1981年に再建)の水煙の飛天です。
2007年に撮影した大修理前の東塔です。
まだ西塔が再建されていない(西塔が礎石だけの)時代の東塔です。(1976年)
落慶法要が延期されたためか、まだ東塔の工事が続けられていました。
東塔の建物そのものは大修理が終わっているようです。
再掲載ですので、ちょっとくどい感じではありますけれども、薬師寺の東塔を形容する言葉とされる「凍れる音楽」についての説明です。
ドイツ語のGefrorene Musik(凍れる音楽)という言葉は、建築家で戦前のドイツに滞在した経験を持つ谷口吉郎氏(1907年-1979年)の著書「雪あかり日記/せせらぎ日記」によりますと「哲学者のシェリング(フリードリヒ・シェリング)が言い出し、それをゲーテが引用したので(引用者注:ドイツでは)一層有名な言葉になった」と書いてあり、さらに「ゴシック寺院などの高い建築が聳え立つ光景を形容するときに、よく使われる言葉」が「建築は凍れる音楽」だとあります。そういうことから、アーネスト・フェノロサ(米国人の美術史家・哲学者 1853年-1908年)が言ったとされる「Frozen Music(英訳)」の元になっているドイツ語のGefrorene Musik(凍れる音楽)は薬師寺東塔だけの形容詞ではないのです。「薬師寺東塔=凍れる音楽」は決して誤りではないものの、ドイツにある多数のゴシック寺院なども、ことごとく「凍れる音楽」です。
ドイツ人が「Gefrorene Musik(凍れる音楽)」と形容する代表例のケルン大聖堂です。(2018年10月撮影)
Gefroreneは発音が難しいのですがカタカナに変換すると「ゲフォーレンネ(ン)?」、Musikはムジーク(英語のミュージック)です。
このMusik(ムジーク)と協会(フェライン)を組み合わせると、ドイツ語圏のオーストリアのウィーン音楽協会(楽友協会)である「ヴィーナー・ムジークフェライン」を思い出す方が多いと思います。
また、「凍(こお)れる」という日本語の言葉の用法は、口語ではなくて文語の動詞でラ行四段活用の已然形(いぜんけい=すでにそうなった)だと思います。
ウィーンのムジークフェライン(楽友協会)のザール(ホール)です。
2020年6月3日に撮影した薬師寺の西塔です。(1981年に再建)
2020年6月3日に撮影した薬師寺西塔の水煙の飛天です。
この形は本来は火焔なのですが、寺院では「火」が忌み言葉であるため「水煙」と呼んでいます。
西塔の水煙の下には風鐸が取りつけられており、東塔の水煙の下には風鐸がありません。
薬師寺東塔の上の新しい水煙
2020年6月3日に撮影した薬師寺東塔の水煙の飛天です。この水煙については避雷導線を避けて西側から撮影しました。
東塔の上に置かれた後の新しい水煙を撮影するのは、これが初めてです。(焦点距離400mm相当のレンズで撮影した画像を少しだけトリミングしました)
2020年6月3日に撮影した薬師寺の金堂です。これほどまでに参詣客がいない薬師寺を見たのは初めてでした。
薬師寺の境内で見た梅の実です。
秘仏の不動明王像が安置されている薬師寺の不動堂です。内部は非公開です。
(つづく)