いましばらく組織の話を続けよう。
成長する組織にビジョンは必要不可欠だというのは自明の理と言える。特に企業の場合、その存続価値は、社会に対する価値の継続的な提供により支えられるけれど、そのためには価値の最大化と利益の最大化を同時に行う必要がある。そのためにも構成する一人ひとりが同じ目標をもち、業務に取り組む必要がある。
しかし、このビジョンを描けない組織が徐々に増加しているのもまた事実なのだ。
「うちの会社がどこに向かって進んでいるのかが分からない」という愚痴を実に多くの人が口にする。
現代は徐々にビジョン共有の時代から共有ビジョンの時代へと変遷しつつある。つまり、経営層がビジョンを指し示し、社員に浸透させることで一丸となっていた従来型のモデルは限界に近づいている。
顧客ニーズの多様化、働く人材の価値観の多様化が進み、経営層はそれら全てを包括的にとらえビジョンとして示せなくなってきている。むしろ成長する組織では、組織を構成する一人ひとりが対話することによって共有されるビジョンを構築することが求められている。(これを共有ビジョンと呼ぶ)
共有ビジョンを有する組織、ひいては「学習する組織」についてはここでは詳しく述べないが、重要なのは個人と組織のビジョンの整合性を保つことが組織の成長につながるということ。
(詳細を知りたい方は「最強組織の法則──新時代のチームワークとは何か」ピーター・M・センゲ著をご参照のこと)
そしてより組織を成長を促進させるビジョンを形成するためには、「自己マスタリー=個々人が自己を高める意志」を持つことが重要であるとされている。ビジョンと現状とは反動性の強いゴムのようなもので結び付けられている。現状とビジョンのギャップが大きいほど、行動に対するエネルギーは大きなものになる。
これは個人にも組織にあてはまる。つまり、個人個人が自己を高める意志をもつことで、個人個人の行動がより主体的なものになる。個人個人が高い意志をもつことにより、組織はより大きなビジョンを掲げることができる。そしてそのビジョンと現状とのギャップが大きければ大きいほど、反動(=成長)はより大きなものとなる。
実は、個々人がキャリアを考えること、人生の充実度を高めようと個々人が考えることは、成長する組織にとってもまた極めて重要なことだといえる。
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