三浦しをんさんの小説『墨のゆらめき』。待ってたんだ!こういうの!! | てっちゃんの明日を探して

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待ってたんだ、待ってたんだ、待ってたんだ!!

三浦しをん先生のこういう小説チューチューチュー

 

タイトルは『墨のゆらめき』。

・・・うん。

表紙も、タイトルも、めっちゃ地味だね滝汗

しをん先生を知らなかったら、まず読まないと思うな、コレ滝汗滝汗

 

でも、私は某新聞で書評を読んでいたから迷わず飛びついた!

だって、先生の描く、性格が正反対という男性バディものは、私の大大大好物なんですものラブラブラブ

代表的なのが、先生が直木賞を獲った『まほろ駅前多田便利軒』で、あれは先生の作品のなかでも私がいちばん好きな1冊照れ

どう考えてもBL展開しかありえない話なのに爆  笑すんでのところで踏みとどまって一般小説の佳作となった、希有な小説です。

当時の直木賞選考委員のひとりも「これBLじゃね?」と言ってたくらいですからね滝汗

 

先生は盆栽でBL妄想しちゃうくらい根っからの腐女子だし爆  笑、実際「きみはポラリス」(すっごく切ない話で大好き!チュー)とか「月魚」とかのBL(っぽい)小説も書いておりますから、とにかく「男同士のバディもの」を書かせたら天下一品!!!

BL小説出身でない作家さんでは最高峰だと思っております。

だからさあ~~待ってたんだよ~~~こういう作品を~~~えーん

 

って、私のしをん先生愛がほとばしって、前置きが長くなりましたね滝汗

さっそく作品を見ていきましょう。

 

あらすじはこちら下差し

真面目で実直、「人から話しかけられやすい」ホテルマンの続 力(つづき・ちから)は36歳。

結婚式の案内状の宛名書きを頼むため、筆耕係として新しく登録された遠田薫の家を訪ねます。

同世代の書家、遠田薫は、書家に似合わず背が高くて筋肉質の超イケメン!

しかも自由奔放。

彼に振り回される力は、むりやり手紙の代筆を手伝わされることになるのですが・・・。

 

ほらね。

もう完全に力は受設定で、薫は攻設定でしょ?爆  笑

しかも!

薫は力を「チカ」って呼ぶんですよラブ

「チカ」は私には特別なBL名前なので、ますます腐女子心をくすぐられますチュー

 

しかし・・・この小説の展開って・・・あまりにも『まほろ~』に似てないか?ガーン

『まほろ~』でバディを組む2人、多田と行天(ぎょうてん)は高校の同級生ですが、現在はともに30代。

主人公・多田に「大きな貸し」があるマイペースな行天くんは、多田の罪悪感を利用して彼の家に転がり込み、マトモな多田を振り回します。

ラス前、多田は自分のつらい過去を行天に打ち明けるのですが、臆病になって行天を突き放し、家から追い出してしまうんです。

このとき、ひと言「わかった」とだけ言って出て行く行天が愛おしくてねえ、私泣くうさぎ

一方、『墨の~』では、チカが薫に振り回され、ラス前で薫は自分の壮絶で痛ましい過去をチカに打ち明けるのですが、いつも「また来いよ」と言っていたチカに、「もう(この家には)来るな」と言います。

・・・そっくりじゃん!

ここまで似てると、もはやセルフオマージュとしか思えない!

 

でも、進歩?している部分もあって、多田は自分を守るために行天を突き放したけど、薫はチカを守るためにチカを突き放した。

追い出された行天は、多田のよくくる場所に姿を現すことで消極的に関係をつなごうとするけど、チカは自分から薫が下ろしたシャッターをぶちこわして薫に会いに来る。

うう~~ん、ますますBL感マシマシじゃないのラブラブ

しかも今回は薫の愛猫「カネコさん」が頻繁に登場し、いい~仕事するんだこれが!チュー

 

もちろん、三浦先生はお仕事小説の手練れなので、書家という存在、書の真髄、才能ある者の葛藤なども余さず描いてくれています。

とくに、書を形容する言葉が美しいんだ!

書の中国詩ににじむ薫の気持ち、それを感じ取るチカの気持ちにもジンとくる。

剛胆な薫が秘めているさびしさ、必死に「普通の人」に擬態しようとしている痛々しさすらも、チカはちゃんと感じ取っています。

だからこそ、最初は嫌々巻き込まれたのに、薫とまったりした居心地の良い時間を過ごし、彼が書に向き合う姿を目にするうち、徐々に薫という人間と、彼の書に魅せられていくんです。

ラストの、チカが心の中で薫に語りかける言葉「いつかみんなで動物園に行ってパンダを見ましょう」は、近年読んだ小説でもっとも心が温まったひと言でした照れ

 

この作品は賞は獲らないでしょうし、人によっては悪く言うかもしれない。

でも、そんなのカンケーねえ!!!!

私にはこの小説はキラキラ輝く宝石に見えるんだ!

誰がなんと言おうと、好きなものは好きなんだ!!

しをん先生、この作品を書いてくれてありがとうございました。

私はこの小説、大好きですラブラブラブ

読書とは超個人的な体験だということを改めて知った1冊でした。

 

蛇足なんだけど。

これ・・・映像化されそうで怖いガーンガーンガーン

しをん先生の作品は『舟を編む』とかいっぱい映像化されてるし、これがまた映像化にぴったりの小説だからなあショボーン

ちなみに『まほろ~』も映像化され、多田を瑛太、行天を松田龍平が演じていました。

松田くんの行天は、線は太いけどまあいいとして、多田役は瑛太ではない。

なんか私の「~の役は~ではない」によく瑛太がくるのはなぜ?爆  笑

瑛太そのものは好きな役者さんなんだけどね💦

映像業界のみなさま、できればこれを映像化しないでほしいですが、どうしてもする場合は「薫役は瑛太ではない」。

これだけは死守してくださいませ💦💦