盛岡で『東日本大震災後の心のケア』というテーマのシンポジウム及び講演会がありました。
主催は岩手県精神保健センター、共催は岩手県精神保健福祉協会です。
被災地行政職員の精神保健相談に何回か行きましたので、関心の高いシンポジウムでした。
プログラム内容は以下の通りです。
講義「岩手の自殺対策と現状」
特別講演「岩手県こころのケアセンターの役割について」
シンポジウム「これからのこころのケアに必要なこと~いかに連携をつくるか~」
シンポジウムの発表の中で、「寄り添うひと」と「寄り添われるひと」の立場が逆転したり、それぞれの差異があいまいになることが望ましいのではないか、との発言がありました。そして、「寄り添うこと」と「寄り添われること」を、実体験から次のように述べています。
●『寄り添われる』こと
・「ありがとう」と頭を下げ続けるのも、それなりに疲れます。
・「すみません」という言葉を口にするうちに、罪悪感がさらに深まります。
・配給の列に並ぶ。感謝とみじめさがあります。
・「寄り添われる」被災者であっても、内心に自尊心があります。
●『寄り添う』こと
・「寄り添われる」側の気持ちを踏まえて「寄り添う」ことが大事です。一方的な支援で「寄り添う」ことはうまく行きません。
・被災者の自尊心を大切にすることです。
・被災者の自助行為を支援することです。
・自助行為こそが無力感からの脱出の第一歩です。
そうなんですよね…
こころのケアって、こころを感じ取ることから始めるので、けっこう難しいです。
最終的な意志決定は本人なので、ただ聴くだけのこともありますし、本人の言葉を繰り返すだけのこともあります。
だからこそ、寄り添われる側と寄り添う側が「自助行為」の連携相手として関係作りが大切なのだと思います。
会の冒頭に主催者から、「記念日反応(アニバーサリー反応)」についてのお話がありました。
【記念日反応について】
東日本大震災から、もう少しで一年を迎えます。
震災の前後になると、その時のことなどがよみがえってくる可能性があります。
大きな出来事があった後、1ヶ月、1年など区切りの頃、亡くなった人の命日や誕生日等特別な日が近づくと、気持ちの落ち込みや体調が崩れるなど、その当時の反応や変化が出ることがあります。このような反応、変化は、「記念日(アニバーサリー)反応」と呼ばれています。
これは、誰にでも起こる一時的な反応です。
震災の日の前後には、安心できる人と過ごしたり、気持ちを話したりすることが役立つかもしれません。また、その場所から離れて過ごしたり、何か別のことで気持ちがまぎれるようにすることも対処法の一つです。
震災関連の報道が多くなり、報道に触れることや式典への参加がつらく感じるときには、無理せずに距離を置くことも大切です。
周囲の方々もこれらのことを理解して、一緒に過ごしたり、接してあげてくださるようお願いいたします。
以上が、(JDGSプロジェクトのホームページを引用の)精神保健福祉センターからのお知らせでした。
もう少しで3月11日を迎えようとしています。
初期介入の段階を過ぎ、中期的支援段階にある現在においては、共に成長しながら支え合う関係を構築・維持・発展させて行くことが大事なのだと思います。